第3章 出願公開制度

  • 最先の優先日または出願日から18ヶ月後に公開される。
  • 米国以外に出願しないものは申請により非公開にすることができる。
  • 仮保護の権利を享受するために出願時に多段階的なクレーム作成を行う。

3.1 制度の概要

 いわゆる"サブマリン特許"の防止策として1999年改正法(AIPA: American Inventors Protection Act of 1999)により導入された。日欧等とは異なり、USPTOのウェッブサイトでのネット公開のみである。

3.1.1 公開の時期

 最先の優先日または出願日から18ヶ月経過後に速やかに公開。出願人の請求により18ヶ月経過前に公開可能。但し、係属していない出願、仮出願、181条の秘密命令の対象出願及びデザイン出願、並びに、米国のみに出願し非公開の申請がなされた出願については、公開されない。

3.1.2 公開される範囲

 米国出願した明細書の内容が公開される。但し、米国以外の外国にも出願した場合であって、当該外国出願の開示内容が米国出願よりも狭い場合には、外国出願には含まれない部分を削除した書面を優先日から16ヶ月以内に提出することが可能である。これにより、当該書面部分のみが公開される。また、公開の準備の開始に先立ち、時間的に間に合えば、補正内容を反映した明細書が公開されることもある。

3.1.3 公開による効果

(1)仮保護の権利(154条(d))( provisional compensation right )

 公開から特許付与までの期間の他人の実施に関し、公開されたクレームと実質的に同じクレームに関してのみ、実施料相当額を請求可能。

(2)後願に対する効果(MPEP 706.02(f),102条(e))

 ガイドライン(MPEP 706.02(f)(1))に示された所定の要件を満たせば、公開時点で102条(e)に基づく後願排除力が生じる。PCT出願における公開言語(英語か非英語)での摘要に注意。

3.1.4 公開の費用

 公開された出願は、その出願が特許付与されるまでに、出願公開手数料として所定の手数料を納付しなければならない。

3.2 出願公開制度に関する留意点

(1)出願時に多段階的なクレーム作成を行う。

 仮保護の権利を考慮した場合、特許付与されるクレームと実質的に同じクレームが出願時に含まれているようなクレームドラフティングを行うことが重要である。

(2)出願公開制度を利用して他社出願のウォッチングや対策検討を行う。

(3)PAIRを活用して審査情報、先行技術等を入手し検討を行うことができる。

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