ちょっと一言

「薪ストーブ」11月号編集後記より

 私の居住地域では11月になるとぐっと冷え込み,暖房が欠かせなくなります。我が家の暖房は薪ストーブです。補助的にエアコンを使うこともありますが,ほぼ薪ストーブ1台で家全体が暖まります。家を建てた時に住宅メーカーの方から薪ストーブを熱心にお勧めされ,あまり深く考えずに導入してしまいました。
 我が家の暖房は薪ストーブだと話すと,うらやましがられることもありますが,いいことばかりではありません。まず薪を確保しなければなりません。無料で手に入ることはほとんどなく,たいていは購入することになります。始めの頃は丸太を購入し,丸太をチェーンソーで短く切り,それを斧で割っていました。ゲームの世界では斧で丸太を1発叩けば瞬時に薪になりますが,現実は厳しく,何回かの休日を丸一日使っての作業になります。薪は半年程度乾燥させないとよく燃えないので,この作業を5月くらいまでに終える必要があります。
 こうした薪作りが薪ストーブの醍醐味とも言えますが,毎シーズン発生する薪作りが次第に面倒になってきて,近年は既に薪割りされた薪を購入しています。手間が掛からない分,費用は掛かりますが,そのおかげでゆったりした休日を過ごせています。
 薪ストーブに火をつけるのも手間が掛かります。焚き付け材と呼ばれる細めの端材にマッチで火を点け,徐々に太い薪に火を移して火を育てていく必要があります。スイッチを入れるだけという便利な世界とは真逆の世界です。
温度にも気をつける必要があります。ストーブの天面の温度が200℃くらいの状態が適温と言われていますが,一気に暖めようと薪を大量に投入すると,高温になり過ぎてしまい,ストーブに歪みが生じてしまいます。我が家の初代のストーブはそれで痛めてしまい,現在のストーブは2代目で,温度計を確認しながら薪の投入量を調節しています。
薪ストーブの面倒なことばかり強調してしまいましたが,ゆらゆらと揺れる炎をぼんやりと見たり,パチパチと薪がはぜる音を聞いている時間はいいもので,気がついたら居眠りしてしまっていることもあります。寒さの厳しい冬は苦手ですが,一方で薪ストーブを使うことのできる冬は楽しみな季節でもあります。

(H.O.)

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