ちょっと一言

「イチゴ狩り」2月号編集後記より

  2月と言えば皆さんは何が思い浮かぶでしょうか? 節分,バレンタインデー,そしてJIPA知財シンポジウムなど色々あるかと思いますが,私にとって2月は「イチゴ狩り」の季節です。
 静岡県に住んでいる私は,毎年この時期になると久能山の石垣イチゴや伊豆の江間イチゴなどの情報をチェックしてイチゴ狩りに出かけます。もともと母親の実家が静岡市だったので,幼少期から冬休みには祖父母がよく石垣イチゴを食べに連れて行ってくれました。振り返ってみるとその頃から「冬になったらイチゴ狩り」というのが刷り込まれていたのだと思います。その後,私自身も静岡県の企業に就職し,気軽にイチゴ狩りに行けるようになってからは,年によって時期や品種の違いを楽しむようになり,経験上,2月の「章姫」と「紅ほっぺ」が私の口に合うという結論から,「冬になったらイチゴ狩り」が「2月になったらイチゴ狩り」に上書きされて今に至っています。
 ただ,ずっと当たり前と思っていてこれまで特に疑問を感じていなかったのですが,改めて考えるとイチゴ狩りに行くのはいつもビニールハウスでした。それならビニールハウスを使わない露地栽培のイチゴはいつ頃できるのか?と気になって調べてみると,元来イチゴは春から夏が旬で,俳句でも初夏の季語とのことでした。しかしイチゴと言えばやはりケーキ,それもクリスマスケーキ用に12月の需要が多いため,現在はほとんどのイチゴ農家が冬場にビニールハウスで栽培し,夏場は北海道などの一部の農家が業務用に露地栽培を行うのみだそうです。
 ちなみに私が馴染みのある石垣イチゴは,その名の通り石垣(の石積みの間)に苗を植え付けたのが始まりで,海沿いの温暖な気候と石の保温効果によりビニールハウスが無かった頃も冬場にイチゴを収穫できたようです。さらには立った姿勢で収穫できる高さに実が生るので,腰への負担も少なく服も汚れにくいという観光客への訴求点でも強みのある栽培法です。
 知財関係者としてはそういった情報を見るとつい特許を検索して,これに用いる多孔コンクリート板の出願などを見つけてしまう訳ですが…せめて家族とイチゴ狩りをするときくらいは細かいことは忘れて,子どもと一緒に無邪気においしいイチゴを味わいたいと思います。

(H.A.)

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