新刊書紹介
新刊書紹介
これでいいのか! 2018年著作権法改正
編著 | 城所岩生 編 中山信弘ほか 著 |
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出版元 | インプレスR&D B5判 100p |
発行年月日・価格 | 2019年3月29日発行 電子版 1,200円(税別) 印刷版 1,500円(税別) |
まず第1章は,『改正法をめぐる文化庁との折衝,自民党内での議論』と題した現職の参議院議員2名による報告で始まり,続く第2章で,『平成30年著作権法改正――「柔軟な権利制限規定」の意義と今後の課題』と題した中山教授による総括的な評価が述べられる。そして第3章では,『改正法における「柔軟な権利制限規定」の意義と課題』と題して,政府の審議会委員として法改正に参画した,早稲田大学の上野達弘教授による解説へと続く。
ここまでを読めば,法改正の内容はもちろん,法改正に至る背景やプロセス,そして残る課題まで理解することができるが,更に第4章以降で,複数の研究者・実務家から見た改正法の解釈や今後の課題など様々な報告が加えられており,それぞれ示唆に富む内容となっている。
第4章 著作権法の行く手――平成30年改正が描く未来像(島並良)
第5章 著作権法のバッファ(椙山敬士)
第6章 英米法との比較
6.1 アメリカのフェアユースとの比較,市場の観点から(潮海久雄)
6.2 イギリス,カナダのフェアディーリングとの比較(谷川和幸)
第7章 パネルディスカッションを終えて(石新智規)
付録 改正著作権法はAI・IoT時代に対応できるのか?(城所岩生)
中山教授をはじめ多くの執筆者が指摘する通り,依然として課題は残っており,著作権法は今後も毎年のように改正される状況が続くのかもしれない。しかしながら,日本版フェアユー
ス規定の必要性が議論され始めてから10年を超える歳月を経て,いわゆる「柔軟な権利制限規定」が今回整備されたことで,少なくともAI やIoTなどを活用するビジネスにおける著作権侵害の懸念は大幅に低減された。
このことは,幅広い業種の事業活動において大きくチャンスが拡大したことを意味してお り,本書を通じて多くの方がその点を理解し,日本発の新たなビジネスが次々と生み出されていくことを願っている。
(紹介者 会誌広報委員 S.M)
