新刊書紹介

新刊書紹介

中国商標法 TRADEMARK LAW OF CHINA

編著 黄 暉 著
出版元 知成堂 A5判 746p
発行年月日・価格 2025年6月30日発行 8,910円(税込)
  本書は,中国国家商標戦略の立案に携わる第一人者であり,中国およびフランスで商標法博士号を取得した黄氏の豊富な実務経験と深い学術的知見を結集し,中国商標法の理論と実務を体系的に記した書である。原著は20年以上にわたり改訂を重ねてきた定評ある内容であり,本書はその第3版を日本語完訳版として刊行されたものである。
 本書の最大の特徴は,商標法の基本原理から実務運用,さらには国際的な条約との関係までを包括的に解説している点にある。中国の商標法制度は情報が限られており,体系的に理解することが難しい分野であるが,本書はそのギャップを埋める貴重な資料として,役立つであろう。特に,欧米の法制度との比較の他,国際条約への準拠や,登録重視から使用重視への実務トレンドの変化等,国際的な商標法の潮流を踏まえた記述は,グローバルな視点で商標法を学びたい読者にとって非常に有益である。
 内容面では,商標の定義から始まり,登録の要件,取得,流通,消滅,専用使用権の効力と制限,保護,管理,馳名商標,団体・証明商標,地理的表示,国際登録,国際条約との関係まで,全14章にわたって詳細に解説されている。さらに,『民法典』や『反不正当競争法』などの関連法規との関係性も明確に示されており,実務に直結する知識を得ることができるのもありがたい。
 また,実務事例や著名商標の図示が多数収録されており,視覚的にも理解しやすい構成となっている。QRコードによる事例のカラー解説,キーワード索引,事例インデックスなど,読者の利便性を高める工夫が随所に施されている。専門書でありながら,使いやすさと読みやすさを兼ね備えた設計は,学習者のみならず実務家にも高く評価されるであろう。
 推薦者には,東京大学・田村善之教授や,日本商標協会事務局長である佐藤俊司弁理士など,商標法の第一線で活躍する専門家が名を連ねており,本書の学術的・実務的価値の高さを裏付けるものである。
 746ページに及ぶ本書は,単なる法令解説書ではなく,商標法の思想・制度・運用を深く掘り下げた「中国商標法の集大成」とも言える一冊である。本書は,中国と世界の商標法の潮流を同時に理解し,理論と実務を融合させた知識を得たい商標担当者にとって,最良の選択肢となるであろう。

(紹介者 会誌広報委員 M.I.)

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