新刊書紹介
新刊書紹介
AIと法 実務大全
| 編著 | STORIA法律事務所
柿沼太一・杉浦健二 著 |
|---|---|
| 出版元 | 日本加除出版 A5判 688p |
| 発行年月日・価格 | 2025年7月発行 9,130円(税込) |
生成AIの業務利用が急速に広がり,企業の知財部門は「利用者」として新たな法的課題に直面している。著作権や個人情報,契約,社内ルールなど,従来の知財管理の枠組みでは捉えきれない論点が多数生じているのが現状である。本書はこうした状況に対し,開発者・提供者・利用者それぞれの立場から,AI技術の法的論点を体系的に整理した「実務大全」として,その解決策を示している。
本書は,単なる法令解説にとどまらず,プレイヤー(開発者・提供者・利用者)とフェーズ(開発・学習/生成・利用)のマトリクスに基づき,知的財産権,個人情報,契約,OSS,社内導入といった多岐にわたるテーマの実務課題と解決手法を深く掘り下げている。
各章が「AI開発・提供」と「AI利用」のフェーズに分けて解説されている点は特筆すべきだ。生成AIの活用においては「利用者」も開発・学習行為を行う可能性があり,開発・提供フェーズの理解も不可欠となる。この構成により,自社の行為がどのフェーズに該当するかという気づきを得られ,広い視点での検討が可能となるだろう。
本書の魅力は,その実践的な内容にある。例えば,第2章「生成AIと著作権」では,著作物性,学習段階での権利侵害の可能性,「RAG・ロングコンテクストLLMと著作権侵害」といった実務上の論点に対し,明快な解釈が示されている。第2章はSTORIA法律事務所の公式ブログでも公開されており,内容の充実度を実感いただく上で必読である。本書全体の奥深さが垣間見え,他の章への関心が高まるだろう。パブリシティ権や肖像権といった「著作権以外の知的財産権等」については第3章に記されている。
また,第5章「生成AI開発・提供・利用と機密情報・営業秘密・限定提供データ」では,生成AIの利用が不可避となる企業にとって,利用者の立場から問題となりうる場面が具体的に例示されている。
第11章「社内業務に生成AIを導入する際のポイント」では,「技術・システム的対応」と「社内ルール対応」に焦点を当て,「安全な」生成AI利用のための法的対応策が解説されている。
さらに,「具体的事例の検討」として仮想事例が複数挙げられ,結論が明記されている点もありがたい。自社内で発生中の事例に近い案件について,検討すべき観点やプロセスによる場合分けが適切かつ分かりやすく示されており,即座に役立つ情報源となる。
他にも,AIを業務に取り入れる企業知財担当者にとって,社内教育・契約対応・情報管理の各局面で活用できる内容が豊富である。生成AI社内利用ガイドラインも具体例の記載があり,実務に即座に役立つ。
AIと法の接点を,異なる専門領域を持つ実務家の「かけはし」となる言葉でつなぐ本書は,今後の実務対応の精度を高める確かな羅針盤となる一冊だ。
本書は,単なる法令解説にとどまらず,プレイヤー(開発者・提供者・利用者)とフェーズ(開発・学習/生成・利用)のマトリクスに基づき,知的財産権,個人情報,契約,OSS,社内導入といった多岐にわたるテーマの実務課題と解決手法を深く掘り下げている。
各章が「AI開発・提供」と「AI利用」のフェーズに分けて解説されている点は特筆すべきだ。生成AIの活用においては「利用者」も開発・学習行為を行う可能性があり,開発・提供フェーズの理解も不可欠となる。この構成により,自社の行為がどのフェーズに該当するかという気づきを得られ,広い視点での検討が可能となるだろう。
本書の魅力は,その実践的な内容にある。例えば,第2章「生成AIと著作権」では,著作物性,学習段階での権利侵害の可能性,「RAG・ロングコンテクストLLMと著作権侵害」といった実務上の論点に対し,明快な解釈が示されている。第2章はSTORIA法律事務所の公式ブログでも公開されており,内容の充実度を実感いただく上で必読である。本書全体の奥深さが垣間見え,他の章への関心が高まるだろう。パブリシティ権や肖像権といった「著作権以外の知的財産権等」については第3章に記されている。
また,第5章「生成AI開発・提供・利用と機密情報・営業秘密・限定提供データ」では,生成AIの利用が不可避となる企業にとって,利用者の立場から問題となりうる場面が具体的に例示されている。
第11章「社内業務に生成AIを導入する際のポイント」では,「技術・システム的対応」と「社内ルール対応」に焦点を当て,「安全な」生成AI利用のための法的対応策が解説されている。
さらに,「具体的事例の検討」として仮想事例が複数挙げられ,結論が明記されている点もありがたい。自社内で発生中の事例に近い案件について,検討すべき観点やプロセスによる場合分けが適切かつ分かりやすく示されており,即座に役立つ情報源となる。
他にも,AIを業務に取り入れる企業知財担当者にとって,社内教育・契約対応・情報管理の各局面で活用できる内容が豊富である。生成AI社内利用ガイドラインも具体例の記載があり,実務に即座に役立つ。
AIと法の接点を,異なる専門領域を持つ実務家の「かけはし」となる言葉でつなぐ本書は,今後の実務対応の精度を高める確かな羅針盤となる一冊だ。
(紹介者 会誌広報委員 S.O)

