ちょっと一言

あなろぐ と でじたる

台風も残暑も減ってきて、秋が確実に近づいてきているのが感じられます。秋の夜長には、読書だけでなく、いい音楽やいい映画を楽しみたいところです。

さて、知財の知識を増やそうと、今年度は知財協研修講座の著作権に関する講座を受講しています。知財関係のニュースなどを見ていると、音楽や映画の「著作権」に絡んで議論が盛んに行われ、そこでは「デジタル」がキーワードになっているのを耳にします。

みなさんは「アナログ」と「デジタル」というとどういったイメージをお持ちでしょうか?「アナログとデジタル」の説明でよく使われるものに、デジタル録音方式であるCDと、CDが出る前に主流であった、アナログ録音方式であるレコード盤(いわゆるLPレコード)があります。

LPレコードが発売されたのが1947年、CDが発売されたのが1982年だそうですから、LPレコードの時代が約35年、CDが約25年続いていますが、最近流行の携帯音楽プレイヤーではMP3方式といったデータ処理のフォーマット(規格)が使われます。このように、「デジタル」には必然的にフォーマットが絡んできます。
デジタル時代になってからはフォーマットがいろいろあり、さらに数年経つと新しい規格が作られているので、ある装置では使えて他では使えない、あるいは、皆さんが今お持ちのデジタル製品も数年でそのフォーマットが廃れるとコピーも再生もできなくなる可能性があるわけです。
CDの時代も長くないかもしれません。中身であるコンテンツが変わらない期間(すなわち著作権の期限)が死後50年までといった気の長い話とは対照的だなと感じます。

話をLPレコードに戻しますと、「アナログとデジタル」の話で出るのが、アナログは劣化してデジタルは劣化しないという説明ですが、劣化する・しないで言えば、LPレコードのプレイヤーでも、CDみたいにレーザ光を用いてレコード盤からアナログ波形を読み取る(すなわちレコード盤は痛まず劣化しない)ものがあります。なかには、その信号をデジタルに変換して保存する方もいるようです。まあ、それでも最終的に音にするところはアナログなので、聞くときには劣化したものを聞いているわけですが。

LPレコード盤は、直径が30cm程度あるので、それが入る四角い紙封筒(ジャケット)も大きくて視覚的にも凝っていたりして鑑賞的ですし、解説の情報量も多かったので、CDが出始めの頃は、小さくてプラスチック製のケースに小さい字で窮屈そうに入っている解説書が面白みに欠けているようにも見えました。

最近では、団塊の世代の退職にあわせて各社が再びオーディオに力を入れてきており、安くていいLPレコードプレイヤーでも出てきたらレコード盤を出してきて、ジャケットを眺めながら、再び聴いてみるのもいいかなと感じています。ただし、それまで昔買ったレコード盤が無事なことを祈りつつ(皆さん、アナログレコード盤は大切に保存しないと反ったりカビが生えたりするんですよ!)。

ちょっと技術的な話になってしまいましたが、アナログにしろデジタルにしろ、作品を作ってくれた作者(著作者)に感謝しつつ、いい音楽やいい映画を楽しむことが作者への敬意になると思います。そしてそれは技術とは無関係なところにあります。とはいえ、技術がないと作品は実体化しないというのも確かです。

皆さんも、秋の夜長に、作品の裏にある技術について思いを馳せてみてはいかがでしょう。

(K・N)

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