ちょっと一言

絵本から学ぶこと

2歳半の孫から、「読んで!」といわれるので、絵本を読む機会が増えました。

いろんな絵本を読んで、気がついたことがあります。

「省くことの重要性」です。絵本は、2歳か3歳の子供に読んで聞かせる本なので、文字の量が圧倒的に少なくなります。見開きの状態で100字くらいの文字の量です。本全体でも、1,000字程度。文字量が少ない上に、パターン化された文章形態になるので、繰り返しの表現が多くなります。なので、実質的な文字数は、さらに少なくなります。

それなのに、「伝える力」は、とてもあります。

佐藤優さんが上手い表現をしています。「絵本はいろいろ示唆に富んでいて、大人が子供に学ばせたい人生のエッセンスが詰まっている」。そのとおりだと思います。内容がそれだけ濃いのです。だから「伝える力がある」と思いますが、加えて、内容を伝える技法が絵本の中に隠されているように思えます。

「伝える力」は、「省くことによって強化される」のではないでしょうか。推敲に推敲を重ねて、エッセンス以外のものを取り除く。それが「伝える力」を強くしているように思えてなりません。

一方で、知的財産を生業とする我々の世界では、「省くことと反対のこと」をしています。特許明細書作成は、多くのことを詰め込む作業ですし、契約の仕事も「省くこと」をしてはいけません。

なので、知財人が気をつけなければならないことは、「人に想いを伝えるとき、意識して「省くこと」をする必要がある」と思います。Hondaの元会長・吉野浩行さんが、「知財の報告書は長いんだ」と言っていたのを思い出しました。

PPTの作成、報告書の作成、出来るだけ不要な情報はそぎ落としましょう。

(M.S.)

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