ちょっと一言

バラあれこれ(その2) ―バラの歴史―

  バラは人間とのかかわりが3000年以上にも及び、園芸植物として最も古い歴史を有しています。紀元前12世紀頃の古代ペルシャで、薬用、香料用の植物として栽培が始まり、やがて観賞用としても栽培されるようになり、ギリシャ・ローマ時代には、生活の中で多用されるようになりました。ところが中世になると、キリスト教の厳しい戒律の下、その美しい花容と芳香から、人を快楽へ誘う背徳の花として栽培が禁止されてしまいます。この間、バラは教会の裏庭でひっそりと生き長らえ、やがてルネサンスの時代になって禁止が解かれ復活しました。一方、中国でも殷・周の時代にすでにバラが栽培されていたと言われ、宋や明の時代には栽培を重ねる過程で、品種改良がなされていました。

バラの歴史が大きく変ったのは、18〜19世紀です。ヨーロッパのバラにない特質を持ったバラが各地、とりわけ、中国、日本、イラン・イラクからヨーロッパにもたらされ、交雑によりその形質がヨーロッパのバラに導入されました。特に大きな変化は、年1回の開花だったものが複数回咲くようになったことです。元々ヨーロッパのバラは強い芳香を持つが年に1回しか咲かない性質(一季咲き性)でしたが、そこに中国から四季咲き性が導入されたのです。その他には、ティー香や剣弁高芯咲き(中国)、房咲き性やつるバラ(日本)、黄バラ(イラン・イラク)などの形質が導入されました。そして、さらに交配が進められ、品種改良がなされてきました。

 そして1867年、完全四季咲き性の「ラ・フランス」が発表されました。モダン・ローズの第1号で、歴史的なバラになります。花径は10儖漫花弁は45枚位で色はピンク。ダマスク系のフルーティーな強い香りです。古典的な花容で少しうなだれて咲く姿は、心に落ち着きを与えてくれます。なお、ラ・フランス誕生以前のバラの系統をオールド・ローズと呼び区分しています。今でも栽培されていますが、中心はモダン・ローズになっています。その誕生の1867年は明治元年の前年になりますので、モダン・ローズの幕開けは近代日本の幕開けと同じ時期ということになります。約150年の歴史です。写真は、モダン・ローズ第1号のラ・フランスです。

(重陽会会員 I.H)

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