ちょっと一言

「さむ〜い冬の夜のおたのしみと言えば・・?」2月号編集後記より

 寒さ厳しい冬の晩の楽しみと言えば、何より食い気が先立つ私としては、鍋を突つきつつのお酒(願わくは日本酒を、お冷で)を先ず挙げざるを得ませんが、もう一つ、凍てついた夜空を彩る星々も忘れる訳にはいきません。

 私の住む瀬戸内地方は、冬は澄んだ晴天に恵まれることが多いうえに、我が家は地方都市の端っこ近くの山裾あたりで程よく夜空が暗く、かつ冬は1年で最も一等星が多いということで、帰宅のバスから降りてふと空を仰ぐと、豪奢な星々の煌めきが目に飛び込む・・・、こういう機会に多く恵まれます。

 振り仰いでまず目に付くのが、一等星を2つ擁し、腰に三ツ星をまとったオリオン座。その直ぐ下に輝くのが全天一の明るさを誇るおおいぬ座のシリウス。すると「冬の大三角形」の一角を成すこいぬ座のプロキオンもすぐ見つかります。真上に目を移していくと、カストル・ポルックスの双子星を持つふたご座、そしてカペラを含む5角形のぎょしゃ座とアルデバランやすばるのおうし座。

 この星々があるのは、近くても光の速度で数年、遠ければ数百年かかる先,今我々の目に届く光は、数年〜数百年前に星から放たれたものであるそうです。注目したいのはオリオン座の左肩で赤味を帯びて 輝くベテルギウス。寿命間近の不安定な超巨大恒星で、既に超新星爆発していても不思議ではないけど、その光が地球に届くのはやはり爆発後数百年後。特筆すべきはその光の強さで、昼間でもそれと分かり、夜が夜でなくなる程となると予想されており、一大天体ショーとなること請け合いだそうです。

 星々の背後の,肉眼では黒々とした闇にしか見えない空間も侮れません。星々の彼方少なくとも百数十億年先まで宇宙空間が広がり、大小さまざまの天体が無数に活動しているのだとか。

 某国営テレビの番組で仕入れたこんな知識を思い起こしつつ星空を眺めると、宇宙の想像のつかぬ広がり・壮大さを思えば、自分自身が関わるよしなし事も含め、地球の表面というごく狭い(!) 空間で展開されるあれこれが、実にささやかで愛おしむべきもののように思われてきて、さあ明日からも元気よく頑張るか!という気になって、女房・子供が待つわが家へそそくさと帰るわけです。

 宇宙と言えば,2015年は冥王星探査の成功や彗星核への探査機投入の成功、我が国JAXAの金星探査機あかつきの5年越しでの金星周回軌道への投入成功、そして宇宙飛行士の油井さんの国際宇宙ステーションでの活躍など興味深い出来事が沢山ありました。2016年、どんな宇宙にまつわる出来事が起こり、新たな発見・説が世に供されるのか、一宇宙好きとして、期待を持って見守りたいです。  

(H.H.)

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