ちょっと一言

「私のお気に入りのオーケストラ」5月号編集後記より

 ゴールデンウィークも終わりましたが,皆さんはどのように過ごされたでしょうか。私は,まとまった時間がとれるこの連休中に,30年ずっとお気に入りのオーケストラのCDを聞き込むことを楽しみにしています。
 私のお気に入りのオーケストラは,ドイツのベルリンを本拠地とし,今年創立140年を迎える,世界一のオーケストラと評価されています。このオーケストラの最大の特徴として,団員の演奏技術と合奏能力が飛びぬけて高いことが挙げられますが,近年,そのレベルはさらに高まり,人気も他のオーケストラに比べて著しく高いと言われています。
 なぜこれほど長い期間,ダントツの存在感を発揮できるのか,私なりに3つ考えてみました。
 1つ目はグローバル化とダイバーシティです。東西冷戦時までは,団員の多くがドイツ出身者でしたが,それ以降はアジアを含む各国から優れた若い音楽家を多く採用し,女性の団員も採用しています。その結果,より洗練された美しい響きに変化したと評されるようになりました。
 2つ目は,積極的な情報発信です。他のオーケストラに先駆け,演奏会のライブ発信を開始したほか,団員のプライベート映像を楽団ホームページにアップするなどして,WEBを使ったファンの獲得を続けています。
 3つ目は,自分たちの強み・弱みの正確な把握力です。ベートーヴェンといったドイツの作曲家の曲はもちろん得意ですが,アメリカ音楽が不得意と判断すれば,アメリカ出身の指揮者と積極的に演奏するなど,常に演奏レパートリーを広げようとする姿勢があります。
 オーケストラという非常に伝統を重んじる団体であっても,時代の流れをつかみ進化していくことが大切であることが分かります。これら3つの要素は,企業の持続的な成長にもつながるものです。企業に身をおく私自身も,しなやかに対応する大切さを,このオーケストラから学んでいます。
 ちなみに,このオーケストラは大の日本びいきで,コロナ前は毎年のように来日していました(チケットは数万円と高額ですが)。コロナが終息した暁には,頑張って貯めたお小遣いで,このオーケストラの生演奏を満喫したいと思っています。

(N.M.)

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