ちょっと一言

日テレ水曜ドラマ「それってパクリじゃないですか?」

重陽会関西会員  西野 卓嗣

 私にその電話がかかってきたのは昨年10月のある日でした。
  「あるテレビ会社が企業知財をテーマにしたドラマをつくるので監修をしてくれませんか」と。  
 それは関西の某有名大学法学部の女性教授からでした。  彼女とは10年少し前に、一緒に弁理士試験の試験委員をしたことがあり、その際、私がシスメックス(株)の知財責任者をしていることを話しておりました。

 そのテレビ会社は日本テレビで、その教授の教え子がこのドラマを担当していた関係で私のところに話が回ってきたようでした。

 当初、1話だろうと軽く考え、また今までテレビドラマの制作にタッチしたことのない私の好奇心がむくむくと頭をもたげ、直ちにOKしてしまいました。

 しかしそのように軽く考えていた私が、如何に大きな過ちを犯したかに気付くまでにそれほど時間はかかりませんでした。
 ようく聞いてみると、集英社オレンジ文庫の「それってパクリじゃないですか?」を原作として、4月から毎週水曜日のゴールデンタイムに10回にわたって放映するというじゃないですか。もうビックリでした。

 薄い1冊の単行本の内容を10話に増幅するのは、脚本家です。先ず私はその脚本を読んで驚きました。知財の素人がここまで書けるか!!っと。本当に素晴らしい。その脚本家は丑尾健太郎さんといって下町ロケット、ノーサイド・ゲーム、半沢直樹など著名な作品の脚本を書いている人でした。
 私は、それほど著名なドラマの脚本家なら、どんなにかすごい人かなと思っていたら、礼儀正しく物腰のやわらかな、私から見れば好青年でした。

 それから私の苦悩する日々が始まりました(今も苦悩中です)。圧倒的大多数の知財を知らない人に興味をもって見てもらいたい。一方で少数といえども専門家も見る。そこで「正確性」と「面白さ」の対決が始まるのです。
 ここでは具体的中身に触れることはできませんが、正確性を大切にすると、通常の視聴者は眠くなってチャンネルを変えるでしょう。といって法律や企業の実務と乖離した表現は実態に即していなく、視聴者に誤解を与えるかもしれません。
 そこで、番組制作者とは何度も何度も原稿のすり合わせ(第1話は初稿から第9稿まで)を行い、現在第4話まで完成しました。

 テレビを見て頂いたら、どこでそんな苦労をしたのか、きっとお分かりにならないとは思いますが・・・

 2023年4月12日午後10時から始まる日本テレビの上記のテレビドラマをぜひご覧いただきますようご案内いたします。ドラマの概要は下記URLをご覧ください。

それってパクリじゃないですか?(日本テレビ:ntv.co.jp)

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