ちょっと一言

「子供の成長」6月号編集後記より

 新年から二人の子供のうち小学3年生の弟君が週一でサッカー教室に通い始めました。近所の河川敷に作られたグラウンドへ,夕方から練習に行っています。運動音痴の私の遺伝子を受け継いでいるのだからと,当初は反対でした。しかし,どうしてもやってみたいという弟君に,スポーツで嫌な思いをする経験も大事かもしれないと思い,私が折れました。
 練習場所へは車の通りも多く危ないので,行き帰りは親が付き添うことにしています。行きについては妻が送っていますが,帰りは在宅勤務のメリットを活かして私が迎えに行っています。
 少し早めに迎えに行き練習風景を観察すると,すごくうまい子と普通の子と下手な子とが当然います。弟君は,もちろん下手な子です。みんなでやる試合形式の練習ではほとんどボールに触れないし,個人練習のリフティングでは2回も連続してできません。目を覆いたくなるような惨状に,「さすが血は争えないなあ」と変に感心してしまいます。ただ,周りの子たちには恵まれており,下手だからといって仲間外れにしたりするようなことはありません。しかし,やはり下手だと落ち込むもので,うす暗く寒々とした河川敷をとぼとぼと二人で帰りながら「これは少し頑張らないといけないね」と話し合っていました。うまくなるためなら少しは努力もしようということで,近所の公園で私も付き合って夜に自主練習もしていました。
 努力の甲斐もあって,桜の花が咲き始めるころには,試合形式の練習ではボールに食らいついていけるようになったし,リフティングもポンポンと連続してボールを蹴れるようになっていました。白い花が咲き,日も伸びて少し明るくなった河川敷を帰りながら「サッカー楽しい」という言葉を聞いたときには,こっちまでうれしくなってきました。
 さて,この編集後記が載るのは梅雨の頃と思います。練習場所の河川敷には近くに紫陽花も植えてあるようです。紫陽花の花が咲くころには弟君がさらにうまくなっているといいなと今から楽しみです。

(M.K.)

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