新刊書紹介

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国内優先権制度の活用ガイド〜有効な権利取得のために〜

編著 創英知的財産研究所 編著
出版元 財)経済産業調査会 A5判 201頁
発行年月日・価格 2007年8月6日発行 2,200円(税別)

特許出願の後に、実施例を補充したり、明細書の不備を訂正したりできる国内優先権制度は、特許出願を担当する実務家に幅広く利用されている。

一方で、近年、国内優先権の効果の問題がクローズアップされてきており、国内優先権制度を利用するにあたっては、メリット、リスクを考慮した上で、十分に検討する必要があり、実務において、国内優先権制度の利用を判断する際、国内優先権制度を利用しても大丈夫だろうかと不安に感ずる場面も少なからずあるのではなかろうか。

本書は、国内優先権制度を活用する上で、実務上どのように対処するかということを中心に、国内優先権及び明細書記載要件において参考となる判決を紹介しつつ、国内優先権制度を利用する際の手引きとなるものである。

本書の構成は次のとおりとなっている。

  • 第1章 制度の概要
    本章では、国内優先権制度の概要、制度導入の経緯、利用状況について解説している。
  • 第2章 優先権主張の効果の判断
    本章では、国内優先権の効果の認められるもの、認められないものについて、例をあげて分かりやすく説明している。
  • 第3章 制度利用上の利点及びその留意点
    本章では、国内優先権制度の一般的な利用形態について説明しており、利用する際の留意点について解説している。
  • 第4章  国内優先権出願の利用の類型
    本章では、国内優先権制度を利用するにあたり、目的、国内優先権の利用形態ごとに、その留意点がうまくまとめられており、実務において、国内優先権制度の利用を判断する際、大いに役立つ。
  • 第5章 国内優先権出願を行う際の手続上の留意点
    本章では、国内優先権制度の手続にかかる一般的な事項について説明している。
  • 第6章 判決例の解説
    本章では、国内優先権、明細書記載要件にかかわる判例について、分かりやすく解説している。
  • 第7章 国内優先権出願の明細書作成例
    本章では、第4章で説明した国内優先権の目的、利用形態ごとの留意点に関連する15の事例について、先の出願と後の出願に基づき、国内優先権の効果を解説した上で、実務での対応、留意点を解説しており、実務において、国内優先権制度の利用を判断する際、大いに役立つ。
  • 第8章 参考資料の紹介
    本書の参考資料について紹介している。

本書は、事例ごとに国内優先権の効果、その留意点がうまくまとめられている。したがって、実務においては、ある案件について国内優先権制度の利用を判断する際、本書の事例と判断すべき案件とを対比させることで、案件の国内優先権の効果を確認することができ、実務に大いに役立つものである。  本書は、実用的な一冊であり、おすすめしたい。

(会誌広報委員  T.O)

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