新刊書紹介

新刊書紹介

知的財産法概説[第3版]

編著 相澤 英孝 編著
西村あさひ法律事務所 編著
出版元 弘文堂 A5判 480p
発行年月日・価格 2008年9月30日発行 4,000円(税別)

近年、知的財産法に関する記事が、しばしば、新聞やテレビのニュースで取り上げられ社会の注目を集めてきている。その際、新聞やニュースでは、知的財産法についての正しい知識が伝わっていないのではないかと危惧する一方で、大学の講義で用いる概説書にも不自由を感じていたという筆者が、知的財産法を一望する概説書を作成して、社会人や学生にも知的財産法についての理解を深めてもらおうと第一線で活躍する学者と弁護士を集めて共同で著したのが本書である。

本書は、理論と実務の融合を目指し、(1)知的財産法をビジネスローとして体系的に解説すること、(2)知的財産法についての基本的な理解を得るために基礎的な裁判例や学説を踏まえること、(3)知的財産法の全体についての理解のために、知的財産法の分野を網羅的に取り上げること、(4)現代の知的財産法が抱えている実務的な課題、現代的な課題にも目を配ること等を方針として作成されている。なお、今回は2005年発刊の第2版を改訂したものであり、2008年までの法改正、裁判例、文献等を盛り込むばかりでなく、第2版に推敲を加えて、記述の整理や必要な追加を行うなど、内容についても見直しが行われている。

本書は、全6章で構成されている。概要は以下の通りである。

  • 第1章 知的財産法とは
    本章では、知的財産法の意義や知的財産法と他の法分野との関わりについて解説されている。
  • 第2章 特許法
    本章では、権利の帰属や権利の対象、特許の 要件、特許の効力、手続から実用新案法について解説されている。
  • 第3章 著作権法
    本章では、著作権者、著作物、著作権の効力、著作者人格権、著作隣接権、標識法、商標法、不正競争防止法、商号について解説されている。
  • 第4章 標識法
    本章では、商標法、不正競争防止法、商号について解説されている。
  • 第5章 その他の知的財産法
    本章では、意匠、営業秘密、種苗法、半導体集積回路の回路配置に関する法律、原産地表示、技術的制限手段について、知的財産権の侵害に対する刑事的制裁、知的財産権の取引、パブリシティの権利、知的財産権の行使に伴う責任について解説されている。
  • 第6章 知的財産権法の国際的側面
    本章では、国際私法、国外の行為への知的財産法の適用について、水際措置、国際条約について解説されている。

以上のように、本書では、知的財産法に関する標準的な知識が体系的かつコンパクトにまと められている。また、学者と実務家によるコラボレーションによって作成されているため、実 務の現状、問題点を理解しながら、最新の情報で知的財産法を学ぶことができる。
これから知的財産法を学びたいという初学者から実務経験者まで、知財を知りたい読者にお勧めしたい一冊である。

(会誌広報委員 A.N)

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