新刊書紹介

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知的財産権法概論 第2版

編著 紋谷 暢男 著
出版元 有斐閣 四六判 464p
発行年月日・価格 2009年4月20日発行 3,000円(税別)

近年,特許権,商標権,著作権などといった さまざまな知的財産権に関するニュースを,毎 日のように新聞やテレビで耳にするような時代 となった。しかし,先端技術の高度化・複雑化 に伴って,現在ではコンピュータ・プログラム のように同一対象物である知的財産,あるいは 配線図→回路配置→半導体のように技術的・手 続的に相互発展的関係にある知的財産に対し て,複数の知的財産権が成立し,それが複雑に 相互関連するに至っている。そのため,初学者 のみならず実務家にとっても,この複雑な知的 財産権法について横断的かつ体系的に理解して おく必要があるが,今日においてもそのような ことを学べる書籍は非常に少ないと思われる。

本書は,相互に密接な関連を有する工業所有 権法および著作権法の教材として,また実務家 のための理論的・体系的な理解のための概説書 として刊行された「無体財産権法概論」(昭和 51年初版発行)をその起源とし,その後も幾度 となく,改訂されている。そして,平成18年に は,知的財産権法に加え,関連法(裁判所内外 の手続法,独禁法,税関法,会社法,信託業法, TLO関連法など)の解説のほか,比較法的記 述をも加えた理論的体系書として「知的財産権 2版である。

本書は,初版と比較して,最近の法改正(通 常実施権等登録制度の見直し等に関する平成20 年度特許法等の改正を含む)は勿論のこと,最 新の重要判例(特許,意匠・商標,著作権それ ぞれ約50件)が盛り込まれており,質・量とも に大幅なリニューアルとなっている。また,本 書は,以前の縦書き表記から横書き表記となっ ており,より読みやすいものとなっている。

その他,本書の主な特徴としては, 複雑な知的財産権法について,理論的・ 体系的にまとめられている, 国際的に通用する用語が用いられている, 関係条文が明示されている, 巻末には,簡易な法文集には通常掲載さ れていない,パリ条約,ベルヌ条約,および TRIPS協定が掲載されている, といったことなどが挙げられる。特にい亡 しては,学習に際して関係条文を簡単に参照す ることを可能にし,読者の理解を助けることに なるだろう。

以上紹介したように,本書は,知的財産権法 を横断的かつ体系的に学ぶ上で,最近興味を持 った初学者だけでなく,ブラッシュアップした い実務家にとっても,有益な一冊であると思わ れる。知的財産権の本質について学びたい方に, 一読することをお勧めしたい。

(会誌広報委員 Y.D)

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