新刊書紹介

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特許法の日米比較

編著 第二東京弁護士会知的財産権法研究会 編
出版元 商事法務 A5判 367p
発行年月日・価格 2009年5月15日発行 4,000円(税別)
米国のプロパテント政策は,最近の判例からアンチパテントへ進んでいることが窺われる。 このような状況における最近の米国判例を分析し,その方向性と日本の特許実務との差異や類似点を解説したのが本書である。

本書は,特許法専門の日本の大学教授,裁判官,弁護士が,日本特許法をフィルターとして米国特許法を解説しており,日本特許法に基づいて米国特許法を理解出来る内容になっている。更に,特許法の各論点について,日米の異なる視点から解説しており,論点をより本質的に理解出来る内容にもなっている。

また,「均等論」,「自明性」,「特許権の消尽」,「国際裁判管轄」等の各主要論点を解説しており,幅広く米国特許法を習得するのに適した内 容となっている。

以下,簡単に構成と内容を説明する。

  • 第1回 田村 善之氏
    特許法第101条2号/5号の「課題の解決に不可欠なもの」につき,判例での取扱いを解説。
  • 第2回 大野 聖二氏
    米国特許訴訟手続や米国弁護士の管理,また警告状受領時の対策について,実務経験に基づいて解説。
  • 第3回 三村 量一氏
    「特許権者が販売した特許製品を,第三者が加工した場合の消尽の成否」について,判例に基づいて解説。
  • 第4回 松本 直樹氏
    国際私法上の論点の「国際的紛争裁判における外国法適用」を,特許権帰属国や侵害行為地が異なる日米特許事件に適用して解説。
  • 第5回 道垣内 正人氏
    国際裁判管轄や,「最も密接に関係している地域」が特定し難い知財権紛争での準拠法について,日米判例を比較して解説。
  • 第6回 飯村 敏明氏
    所謂「ダブルトラック問題」において,無効審判手続と特許権侵害訴訟で「進歩性」判断が相違する理由と対処を解説。
  • 第7回 牧野 利秋氏
    「非本質的部分」等日本の各均等論適用要件について,米国の各要件と比較して解説。
  • 第8回 寺澤 幸裕氏,中小路 大氏他
    「米国Quanta判決」での「方法の特許の特許消尽適用」等論点について,日本の裁判所の判断基準に基づいて解説。
  • 第9回 大塚 一郎氏,藤原 宏高氏他
    「米国KSR判決」と自明性新審査基準の関係,及び日米の進歩性審査基準の相違を解説。
  • 第10回 津田 幸宏氏,上沼 紫野氏他
    「米国RIM判決」の「ネットワークの利用発明が方法の発明か物の発明か」等の論点を解説し,更にRIM事件が日本で起こった場合の日本法上の論点を解説。
本書は,これから米国特許法を習得しようとする方に役立つだけでなく,既に日米両方の特許法の知識をお持ちの実務家にも,特許法の本質を捉える上で有益な一冊である。是非,多くの方に一読をお薦めしたい。

(会誌広報委員会   田島 成顕)

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外国特許実務を考慮したクレームと明細書の作成

編著 深見特許事務所 編
出版元 経済産業調査会 A5判 464p
発行年月日・価格 2009年5月7日発行 4,800円(税別)
本書は特許出願業務の中でもきわめて重要な課題である,クレームと明細書作成の解説書である。これまで,クレームと明細書作成の指南書は日本特許法実務に特化したものが多かったが,本書は外国特許実務を考慮した上でクレームと明細書を作成することを提案している。

本書の構成は,以下の通りである。

  • 第犠蓮―鈩
    本章ではクレーム及び明細書の意義や特徴,その概念,歴史的背景を説明した上で主要外国特許制度の特徴にも触れ,日本から外国への特許出願に伴う問題点を解説している。
  • 第蕎蓮.レームの作成
    本章はクレームの基礎知識に始まり,発明の把握方法,クレームの具体的な作成方法,さらには外国出願を考慮したクレーム作成上の留意点などと実際にクレームを作成するにあたり必要な情報が網羅されている。
  • 第珪蓮〔精拿颪虜鄒
    本章は明細書に関する事項が第蕎呂汎瑛佑旅猝棔粉霑鍛亮院ず鄒方法,外国出願を考慮した場合の作成上の留意点)に沿って説明されている。
  • 第絃蓮嵌明の効果」の記載
    明細書中の「発明の効果」の記載方法には様々な意見があることから,本章では明細書における「発明の効果」の記載はいかにあるべきかを検討している。
  • 第江蓮.愁侫肇ΕД関連発明のクレームと明細書の作成
    本章ではソフトウェア関連発明の基礎知識,クレーム・明細書作成方法,外国出願時の留意点が解説されている。
  • 第詐蓮_蹴悄Ε丱ぅ分野発明のクレームと明細書の作成
    本章は化学・バイオ分野発明に関する事項が第江呂汎瑛佑旅猝棔粉霑鍛亮院ぅレーム・明細書作成方法,外国出願時の留意点)に沿って説明されている。
  • 第讃蓮ヽ姐馥探出願に対する外国代理人の助言
    本章は米国,欧州,韓国,中国の代理人の助言が掲載されている。現地代理人による外国出願時の有益なヒントが記載されているので,第詐呂泙任竜載とあわせて読むと,現地の視点も考慮したクレーム・明細書作成に非常に役立つと思われる。

本書のタイトルだけを見ると読者層は特許出願業務担当者のみに限られるとの印象があるかもしれない。しかし,本書は発明という無形の概念をクレームという形式の文書で定義するプロセスが分かりやすく説明されており,特許出願業務担当者のみならず,特許出願の本質を理解するにあたって知財業務に関与する全ての方におすすめしたい内容となっている。

(会誌広報委員会  A.H.)

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