新刊書紹介

新刊書紹介

日英対訳 USPQ米国商標審判決百選

編著 ディビッド・E・ケース 著
日本商標協会関西支部 編
出版元 経済産業調査会 A5判 440p
発行年月日・価格 2011年9月28日発行 3,800円(税別)

 世界全体で先進国の経済が失速しているとはいえ,いまだに米国は日本にとって重要な貿易先であり,各社はたくさんの米国商標を抱えていると思われる。
 米国商標を保有するからには,米国は判例国家であるため,商標に関する判例の知識は重要であろう。
 しかし実際には,日本語に翻訳された判例集などもなく英語で読まなければならないため,判例の重要性を認識していたとしても,とても勉強する気になれないという方は少なくないのではないだろうか。
 そんな方に,本書の刊行は朗報に違いない。
 かくいう自分もその一人で,本書に飛びついたしだいである。

 本書では,商標に係る諸問題をカバーすべく選ばれた100件の審判決例が,「商標の起源」,「商標」,「トレードドレス」,「商標権」,「侵害」,「救済」の大きく6つに区分され,それぞれ英文の要約とその日本語訳が掲載されている。

 例えば,「商標」では記述的商標,セカンダリーミーニング(いわゆる使用による顕著性),一般名化した商標などに関する審判決例が紹介されている。「商標権」では,「単に広告したというだけでコモンロー上の商標権は発生せず,商標を付した商品を市場に置いたときに発生する」という基本原則に立ち戻り,商標を付した商品を地域の販売マネジャーに送りつけたことだけでは公衆は商標を認識しないから,商標を使用したとはいえないとした控訴裁判所判決など「使用」を巡る審判決などがある。また「侵害」では再包装,再生品,並行輸入,イニシャル・インタレスト・コンフュージョンなどにかかる審判決などが紹介されるなど,実務上参考にできる点は多いのではないだろうか。更に,あまり日本人にはなじみがないトレードドレスについても,項が設けられいくつかの審判決が紹介されている。

 本書を判例の勉強に活用できることはもちろんだが,英文があるため,英語で判例を読む練習にも活用できるので,判例本文への敷居を低くすることもできるのではないだろうか。
 日本人には,使用主義を採用する米国商標制度は理解しづらいが,100件の審判決を通じて,米国において商標とはどのように判断されているのか,なんとなくではあるが捉らえることができ,制度に対する理解も深まるのではないかと考える。

 以上のように,本書は米国商標の判例を勉強する入り口としてお勧めの一冊である。

(紹介者 会誌広報委員 U.E.)

新刊書紹介

ブランド戦略の実際〈第2版〉

編著 小川 孔輔 著
出版元 日本経済新聞出版社 新書判 216p
発行年月日・価格 2011年10月14日発行 860円(税別)

 本書は,1994年1月13日に初刊が刊行されて以来,ロングセラーとして長く読まれてきたが,世の中の動向に合わせ大幅に内容を見直し,第2版として2011年10月14日に刊行されたものである。

 本書の特徴は,ブランドの基本的なことを簡潔に分かりやすく記載している点であり,随所にCOFFEE BREAKという表現で,最新の事例を織り込みながら,より読者に分かりやすく紐解いている。ブランドって何だろう,どうすれば良いのかと悩まれている方には,最適な1冊である。

 本書の構成を簡単に紹介すると,
 「[機蓮.屮薀鵐匹箸蓮廚任蓮ぅ屮薀鵐匹竜源や歴史,消費者や流通業者とブランドとの関係に対する考え方について基本的なことが記載されている。
 「[供蓮.屮薀鵐鼻Εぅ瓠璽検廚任蓮ぅ屮薀鵐斌召笋修海ら連想されるイメージとその活用について記載されている。強いブランドは必ず良いブランドとして連想され,いったん獲得された良いイメージは,ブランド拡張でも有効に活用できる。
 「[掘蓮.屮薀鵐廟鑪の実際」では,新ブランドを創造する考え方やブランドのポジショニング,マーケティング戦略について記載されている。
 製品を通してどのようにブランドを位置付け,どのように差異化し,訴求するかについて述べている。
 「[検蓮.屮薀鵐鼻Ε泪優献瓮鵐函廚任蓮ぅ諭璽潺鵐阿筌轡鵐椒襯沺璽の管理,ブランドの維持管理について記載されている。
 ブランドをどのようにマネジメントするのかについて,ネーミング,シンボル,商標やロイヤリティ,ライフサイクルの視点で述べられている。
 「[后蓮.機璽咼垢離屮薀鵐妊ング」では,前述した一般的なブランドの考え方について,サービス業の場合のブランド戦略や管理について簡潔に記載されている。サービス業のブランディングについて記載されたものは少ないだけに参考になる。
 「[此蓮ヾ覿鳩弍弔肇屮薀鵐鼻廚任蓮せ業ドメインとブランド戦略やブランド価値,日本的なブランド管理と海外移転,中小企業のブランド戦略について記載されている。
 事例をベースに考察するとともに,個別ブランド戦略より企業ブランド戦略を訴求する方が,コミュニケーション効率が高いと述べている。

 ブランドの専門書を見るというよりは,入門書的書籍であり,とても読みやすく分かりやすい。
 2月に行われたJIPAシンポジウムのテーマは「ブランド」である。
 シンポジウムを振り返りながら,本書をご覧いただければ,まさにこれから何をすれば良いのかに対するヒントを与えてくれるのではないだろうか。

(紹介者 会誌広報委員 H.M.)

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