新刊書紹介

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米国特許出願実務ガイド

編著 酒井国際特許事務所企画室 編
出版元 経済産業調査会 A5判 700p
発行年月日・価格 2013年1月11日発行 6,600円(税別)
本書は,米国における特許出願の実務の全容 を順序立てて学べるテキストである。また, 2011年9月16日に成立した米国改正特許法 (AIA)に対応している。

本書は,まず,法律(判例法含む),施行規則, 審査マニュアル等のルールを確認した上で,実 務上経験するであろう事項の対応方法について 解説する構成になっている。さらに,実務に必 要なノウハウを可能な限り具体的に解説した, まさに「実務ガイド」である。

第吃瑤任蓮な胴馥探制度の概要として,米 国特許法の沿革,法源,裁判所体系などを簡単 に解説した上で,米国特許制度の特徴及び出願 手続の概要を解説している。第吃瑤世韻琶胴 特許出願実務の概要を俯瞰することができるよ うになっている。

第局瑤任蓮AIAが成立するまでの経緯及び その要点について,立法に関する知識を交えつ つ解説している。AIAの概要を纏めるとともに, 主要な改正制度について解説されている。さら に,議論されたものの立法化には至らなかった 制度についても簡単に説明されており,参考に なる。

第敬瑤任蓮そ亟蟷に必要な書面,さらに, 発明者と出願人・譲受人,早期審査,情報開示 陳述書,公開制度について解説している。完全 な特許出願とするための要素としてのクレーム を含む明細書,図面,宣誓書/宣言書,手数料について,とても細かく丁寧に解説されている。 特に,明細書の記載項目の記載方法について, 非常に分かり易く説明されており,また,クレ ームの記載方法の解説にあっては,形式的な構 成, すなわち, 前文(preamble), 移行句 (transition),本文(body)の各パーツについて, 注意点や,見出しの付け方,インデントの付け 方など,具体例を挙げて解説している。さらに, クレームの形式面の解説のみならず,審査,訴 訟のそれぞれの段階におけるクレームの解釈の され方について解説している。例えば均等論は 機能・方法・結果テストや本質性テストから, フェスト判決の解説に至っており,包袋禁反言 の適用範囲と均等論の関係について包括的に理 解ができる説明がなされている。

第孤瑤任蓮そ亟蠍紂な胴馥探として登録さ れるための特許要件を明確にし,その上で,審 査全般に亘る実務を解説している。新規性,非 自明性に関する解説のみならず保護対象につい ての解説も充実している。

第紘瑤任蓮て探が登録された後に生じ得る 米国特許庁における手続きについて解説されて いる。特許発効後の訂正手段や,登録の有効性 について再度審理するための手続を説明してい る。

全体を通読すれば,米国特許出願に必要な実 務知識が一通り得られるであろう。700頁近い ボリュームではあるが,その分だけ,実務に役 立つこと請け合いである。本書は,企業や特許 事務所の外国出願担当者にとって,是非とも手 元に置いておきたい必携の書である。

(紹介者 会誌広報委員 K.S.)

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最新判例から見る商標法の実務供2012]

編著 小林十四雄 小谷 武 足立 勝 編
出版元 青林書院 A5判 412p
発行年月日・価格 2012年12月10日発行 4,000円(税別)
本書は2006年に発行されたものの続編であ る。今回は,2007年〜2012年の間に出された主 要判決が体系的に分類して紹介されている。

本書の構成は以下の通りである。
第吃堯嶌廼瓩両ι源件判例の傾向」では, 末吉亙氏が執筆を担当され,導入部として第 部で取り上げる判例につき簡単に概観すると共 になぜ当該判例を取り上げたかという理由など が記載されている。

第局堯崗ι玄駄灰璽潺福璽襦廚任蓮き‐ι としての使用(クイックルック事件等),⊂ 標の識別性(招福巻事件等),商標の類似(パ グ事件等),ぞι覆般鯡魁陛豕メトロ事件等), ゾι幻△療佻秦傍儻彊(コンマー事件等), 商標権の維持(ももいちご事件),Ьι幻 侵害(チュッパチャプス控訴事件等),不正 競争(サントリー黒烏龍茶不正競争事件等)と いう8つのテーマに大別し,合計して33件の判 例が取り上げられ,実務に携わっている弁護士, 弁理士,企業担当者などにより解説・検討が行 われている。

第敬堯崗ι庫,了愼獲念から判決を考える」 では,「商標的使用」,「取引の実情」,「混同の おそれ」など商標に関する事件において判断指 標となる概念につき,小林十四雄氏が第局瑤 取り上げられている判例に正しく適用されてい るか検討がなされている。第局瑤粒届世鬚泙 める総論となっている。

時代と共に変わっていく判断の変化を捉える ために判例をキャッチアップしていくことは重 要である。しかし,日々目の前にある業務に追 われなかなかそれが難しいという方もおられる だろう。そのような方が本書を読めば,実務上 重要なポイントに関する裁判における判断傾向 を知ることができる。また,例えば,「商標 の類似」のワールド事件を検討する章では,取 引の実情により非類似を主張する際,指定商品 に記載している指定商品が実際に使用している 商品より広すぎる場合,取引の実情が参酌され ない可能性があるため,削除や分割出願により 使用商品に限定するのが一策であることなども 述べられている。このように,単なる判例の研 究にとどまらず執筆者の経験からくる実務にお ける注意事項も盛り込まれているので,日常業 務に生かせるヒントがもらえる。

商標担当者に一読をお勧めしたい「一粒で二 度おいしい」一冊である。

(紹介者 会誌広報委員 U.E.)

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