新刊書紹介

新刊書紹介

実務 審決取消訴訟入門〔第2版〕

編著 片山 英二 監修
阿部・井窪・片山法律事務所 編
出版元 民事法研究会 A5判 323p
発行年月日・価格 2014年4月26日発行 3,000円(税別)
 本書はタイトルの通り,審決取消訴訟に関す る書籍であり,2007年に発売された同書の第2 版である。第1版発売当時と現在との審決取消 訴訟関連制度の主な相違点としては,無効審判 に対する審決取消訴訟提起後の所定期間に訂正 審判が行えなくなったことと,その訂正審判に 代えて無効審判内で審決予告が行われ,訂正す る機会が用意されたことであろう。

 本書は「入門」と記載されているように,審 決取消訴訟について,その制度・手続が分かり 易く説明されている(第1章)。
 審決取消訴訟は特許庁ではなく,裁判所で行 われる手続である。平成25年の新規受任件数は 知財高裁HPによると353件である。この数を多 いと見るか,少ないと見るかは人それぞれであ ろうが,少なくとも,多くの実務者が充分に経 験している件数とは言えないであろう。
 そのため,いざ審決取消訴訟が必要となった ときのお守りとして本書は実務者の皆様の助け になるのではないかと思う。

  本書は特許に関する審決取消訴訟を中心に説 明されており(第2,3章),進歩性等の登録要 件に対する対処方法から,査定系・当事者系審 判や,侵害訴訟との関係についてなど,多岐に わたる。そして,訴訟手続の段階ごとに,どの ような点に留意すべきか,詳細に説明されてい る。
 さらに,意匠・商標の他法域の審決に対する 取消訴訟や,上訴・再審についても説明されて おり(第4,5章),特許実務者に限らず多くの 実務者にお勧めと言える。

  本書で特に興味深いのは,「元裁判官」及び「元 調査官(裁判官の命令で裁判に必要な調査を担 当する常勤の裁判所職員)」のアドバイスが記 載されている点である。
 内容については是非本書にて確認頂きたいと ころであるが,訴訟を担当してきた元裁判官等 の視点での説明には説得力がある。
 なお,訴訟において,当事者や代理人の対応 に,裁判所がどのような印象を受けるか記述さ れている。うっかりすると裁判官に悪い印象を 与えてしてしまう様である。気を付けなければ ならない。

 このように,本書は審決取消訴訟を経験する であろう多くの方の入門書として,また訴訟に 携わった際の辞書として有益と考えられる。
 本書は前述の通り,いざという時のためのも のであり,特に「審決取消訴訟は関係ない」と 思っている実務者の方ほど手に取ってほしい一 冊である。 

(紹介者 会誌広報委員 Y.H)

新刊書紹介

新・特許異議申立制度の解説 ―平成26年特許法改正―

編著 髙畑 豪太郎 著
出版元 経済産業調査会 A5判 180p
発行年月日・価格 2014年6月27日発行 2,500円(税別)
 平成26年5月に公布された「特許法等の一部 を改正する法律」の中でも,「特許異議申立制度」 の復活は,目玉の一つとして挙げられている。
 振り返れば,平成15年の特許法改正で,“異 議申立制度が担っていた機能を無効審判制度に 包摂させる”という趣旨のもと,廃止されたの が旧・特許異議申立制度であった。
 しかし,その後,早期審査やスーパー早期審 査などにより早期権利化が可能になる一方,ユ ーザーからは特許の質に対する懸念が示される ようになった。
 このような中,時代に即した特許制度の整備 を図るべく,「強く安定した権利の早期設定及 びユーザーの利便性向上」といった社会的要請 を受け復活したのが,今回の新・特許異議申立 制度である。
 従って,このような法改正の変遷を踏まえな がら新・特許異議申立制度を理解することは, 平成15年以降に入部・入所した実務家だけでな く,旧・特許異議申立制度を活用してきた中 堅・幹部クラスの人にとっても,実務上重要で ある。

 本書は,この新・特許異議申立制度について, 特許庁審判部審判課企画室で平成26年特許法の 改正作業に従事した弁護士により,分かりやす く解説されたものである。
 第犠呂任蓮ぅ侫蹇璽船磧璽氾を用いて特許 異議申立の手続が分かりやすく概説されてい る。
 第蕎呂任蓮げ罎国における特許無効審判や 異議申立制度の変遷について説明されている。
 第珪呂任蓮さ譟ζ探異議申立制度と新・特 許異議申立制度との比較が,また,第絃呂任蓮 今回改正される特許無効審判と新・特許異議申 立制度との比較が,表を用いて解説されており, 制度の位置づけを容易に理解することができ る。
 加えて,第江呂任蓮た掘ζ探異議申立制度 の導入に伴い,特許無効審判の請求人適格が利 害関係人に制限されたため,この点につき詳し く解説がなされている。
 そして,第詐呂任蓮ず2鷁正された特許異 議申立制度に関する条文が網羅的に解説され, 第讃呂任蓮そ外国における同種の制度につい ての概説があり,条文解説や資料的な点におい ても有用であると思われる。

 以上,紹介したように,本書では,今回の法 改正に従事したものの視点から,第一線の実務 家が分かりやすいよう,図表やフローチャート 等を用いて丁寧に解説されており,便利な解説 書であると思われる。新・特許異議申立制度に 興味がある方は,その分かりやすさを,書店等 で一度手に取って見て頂きたい。

(紹介者 会誌広報委員 Y.D)

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