新刊書紹介

新刊書紹介

インターネットビジネスの著作権とルール

編著 福井健策 編
福井健策 池村聡 杉本誠司 増田雅史 著
出版元 著作権情報センター A5判 272p
発行年月日・価格 2014年7月1日発行 2,400円(税別)
 近年多様化するインターネットビジネスにつ いて,最新動向と著作権をはじめとする様々な 法的問題を簡潔に分かりやすく解説したのが本 書だ。
ネット関連のビジネスというと,YouTube, Twitter,Facebook,電子書籍,オンラインゲ ーム…とここ数年で急激に拡 大していることは ご承知の通りで,日々身近に利用している読者 も多いのではないだろうか。
本書は,特に近年拡大したコンテンツビジネ スを中心に,極めて幅広い分野が網羅されてお り,基礎知識から実践的な内容まで,最新の事 例を盛り込み解説されている。著作権担当者の みならず,知財部員に広くお薦めしたい一冊で ある。
 本書は著作権情報センター「エンタテインメ ントと著作権―初歩から実践まで―」シリーズ の第5巻として刊行された「インターネット編」 である。大きく3つの章で構成されている。
 第犠呂蓮屮ぅ鵐拭璽優奪肇咼献優垢里靴み と動向」と題して,インターネットビジネスに ついて,その全体動向をネット社会の出現・モ バイル化・ソーシャル化といった面から概観し た後,著作権やその他の代表的な権利(肖像権, プライバシー権等)との関係を概説している。
 第蕎呂蓮屮ぅ鵐拭璽優奪肇咼献優垢涼作権 (必須知識編)」と題して,著作権の基礎的な知 識を,インターネット分野との関わりを述べつ つ体系的に解説している。
 第珪呂蓮屮ぅ鵐拭璽優奪肇咼献優垢涼作権 (実践編)」と題して,例えば,配信ビジネス, SNS・マイクロブログ,パブリックドメインの 活用とデジタルアーカイブ,違法行為,グロー バルな著作権問題,プライバシー問題等の個別 分野ごとに,近年の事例を挙げて,その法的解 釈を具体的に解説している。
 また,各章の途中には,「パロディの著作権 問題」等々のコラムも掲載されている。
各章は複数の項目で構成されており,各項目 は2〜3頁程度で簡潔に纏められているため読 みやすい。本文中,別の箇所で説明されている 用語には関連項目の頁とタイトルが付してあ り,すぐに参照できるようになっている点も有 難い。また,巻末には索引があり,必要な箇所 だけをつまみ読みしやすいようになっている。
 なにより,本書で登場する事例は,ニュース 等々で多くの人が聞いたことのあるような身近 な例であり興味深く読める。
 直接的にネットビジネス関連の実務に携わっ ているか否かを問わず,企業の知財担当者とし て話題の事例について聞かれたり,ちょっとし たネタとして話したりする機会は少なからずあ るのではなかろうか。本書はそれをカバーする 面でも丁度良い一冊である。ぜひご一読頂きた い。  

(紹介者 会誌広報委員 YS)

新刊書紹介

技術法務のススメ
−事業戦略から考える知財・契約プラクティス−

編著 編集代表 鮫島正洋
出版元 日本加除出版 A5判 396p
発行年月日・価格 2014年6月26日発行 3,450円( 税別)
 知財部門の役割は大きく変わってきており, いかにして事業に貢献する特許を創り出すこと ができるかが重要となっている。また,ビジネ ス面においても単独の企業だけではなく,複数 企業がアライアンスを組み,お互いの技術を組 み合わせることによって,新たなシナジーを生 み出し,新しい商品やサービスを創出する機会 が増えており,それらを知財部門でサポートし ていかなければならない。
 本書では,上記の課題を解決する手法の一つ として「技術法務」の考え方を定義している。「技 術法務」とは,具体的には「技術を付加価値と して事業を展開する事業体」が,「事業を遂行 するに当たって直面する様々な問題」を,「法務・ 知財をボーダレスに駆使する」ことによって「事 業の競争力を向上させる」ことであるとし,そ れに基づいた法律的な業務を提案している。
 これはまさに企業の知財部門に求められてい るものであり,本書では,知財活動と経営・事 業戦略との関係において知財が貢献するメカニ ズムを端的に表現する「知財戦略セオリ」など が紹介されている。
 本書で特に読んでいただきたいのが第3章で ある。著者が提案する「知財戦略セオリ」に基 づいて,契約書を作成することの重要性が説明 されている。
 契約業務を担当していない方の中には「契約 は定型の契約書を使っておけば問題ないだろ う」と考える方もいるかもしれないが,雛形は あくまで典型的なビジネスを想定し,最大公約 数的な事項しか入っていないため,固有の条件 が入ってくるビジネスでは,思わぬ落とし穴が でき,予期せぬ債務を負うことにもなりかねな い。そこで本書では,雛形をかき集めて使えそ うな条項をつなぎ合わせるのではなく,|成 しようとするビジネスを理解し,⊆腓燭觀戚 関係を確定し,従たる法律関係の探求を行い, ぐ貳姪な法律条項の補充,を行う契約手法を 紹介している。
 本書では,代表的な知財契約として,秘密保 持契約や共同開発契約など6種類取り上げられ ている。各契約の特徴や留意するべき事項につ いて,上司と部下の会話などを用いながら具体 的なケースが例示されているが,その内容は, 実際の業務でも身に覚えのあるものが多い。実 際に契約内容を確認するときに,どのように考 えて,どのような条項を入れていけば良いかと いうことが列挙されているため,非常に参考に なる。
 知財に契約を組み合わせることによって事業 として知財戦略を進めていくことの重要性を感 じることができる一冊である。知財部門に所属 しながらも契約業務を直接担当していない者 や,これから知財契約を担当する初学者にぜひ 読んでもらいたい。

(紹介者 会誌広報委員 A.N)

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