役員談話室

市民マラソンのすすめ(?)

2008年07月03日

前理事長の東芝加藤さんからお願いしていたコーヒーブレークの原稿が届きました。
マラソンのお話しです。普通ならよほどの決心をしないとフルマラソンをやろうとは思いませんが少し視点を変えるとそうでも無いというお話しです。

私も思わず引き込まれるように読み終えました。
皆さんも是非加藤さんの文章を読んでマラソンをやって見る気になって見てください。それと知財の仕事にも通じますが視点を変えてみることの重要性を読み取ってください。

宗定

50歳を超えると健康談義に花が咲き、お酒の種類も健康を理由に選ぶこの頃である。そんな中、4月からメタボ診断も始まった。メタボに認定されると特定保健指導が義務づけられ、結果が不良な場合は財政的なペナルティが課されるという。「差別」の始まりである。嫌な世の中になったものである。

と言いつつ、メタボにならないよう、オープンに、また密かに日々努力されている方も多いこの頃である。私も、ダイエットを心がけ、4−5キロ落とし、少しスマートになったが、やはり、おいしく料理を食べられるよう、エネルギーを消費し、脂肪を減らすため、運動も必要である。簡単な運動と言えば、ウオーキングであり、ジョギングである。ジョギングは無理に行うと、却って健康を損なう恐れがあるということから、私の場合にはウオーキングを心がけている。

ところで、今年のはじめ、ラジオで、「合わせて161歳の高齢者夫婦が、そろってフルマラソンを完走した。」とのニュースを聞いた。83歳と、78歳のご夫婦と言う。ギネスにも記録が無く、登録申請の予定とのことである。頭が下がる体力である。旦那さんの方は、47歳のときに地元の駅伝に出場して以来、自宅と職場の往復12キロを毎日走って通勤し、数々の市民マラソンに参加していると言うから、まさに筋金入りである。奥さんの方はと言うと、走ることではなく、歩いての通勤を18年続け、40代後半から、市民マラソンにも出場するようになったが、フルマラソンは今回が初めての挑戦で、完走したとのことである。

市民マラソンというと、青梅マラソンが有名であるが、昨年始まった東京マラソン、17000人もの日本人が参加したホノルルマラソンなど、調べてみたら、日本全国で、2000以上の駅伝、マラソンが開催され、毎週のように日本のどこかで開催されている。そういえば、わが住まいの近くで、瀬谷マラソンなる大会が開催されるのを目にしている。

自分の周りにもいるかと思ったら、昨年12月のホノルルマラソンに出場し、見事完走したという人物がいた。ただ、一見したところマラソンなどには縁が無く、まずはダイエットをし、10キロは減量してから練習開始という体格である。よくよく聞いてみると、そのからくりがわかった。まずは軽く走り始め、疲れたら歩く。そして、気が向いたら少し走り、また歩くという戦法で42.195キロを乗り切るというのである。それで完走できるのかと思いきや、実際に計算してみることとした。ここで問題なので、制限時間である。無制限であれば問題ないのは誰にも理解できるが、2時間半とか、3時間となると、もう無理である。ホノルルマラソンの場合、基本的には無制限であるが、9時間ぐらいでフィニッシュのサービスが終了するとのこと。先の高齢者夫婦の「指宿菜の花マラソン」の制限時間は8時間であった。従って、8時間以内で走れば、完走記録が残りそうということとなる。

42.195キロ ÷ 8時間(制限時間) ≒ 5.27km/時

となった。分速に直すと、87m/分である。これは、不動産屋が使う80m/分とほぼ同じくらいの速さとわかった。すなわち、通常の歩く早さを少し早くし、それを8時間続けられればマラソン完走ということになる。どちらかというと、「競歩」で完走というところであろうか。Max9時間となれば、78m/分で、まさに歩く競技となる。完走者いわく、「無理に走ろうとするから、足を痛めたりして途中リタイアが多いので、最初から疲れたら歩くと決めれば以外と乗り切れるもの」とのこと。先の高齢者夫婦の記録は、約7時間36分で、92m/分の速度である。

実際に計測してみた。1時間で約6キロ、2時間で約12キロを歩いた。少し汗をかいたが、100m/分の速度である。普通の人よりも少し速いペースであろうか。このペースで歩くと、約7時間でマラソン完走である。ゴールが見えてきた。もちろん歩くだけと言っても、7時間歩き続けるというのは並大抵のことではないということは当然のことであり、耐久力が必須である。

市民マラソンにも参加資格、走行距離、制限時間など、ルールは千差万別。多くの大会は5−6時間で足切りをしているので、歩くだけでは難しいかもしれないが、昨年始まった東京マラソンは7時間なので、可能性大である。

特許の世界では、言葉の持つ意味が定義、使い方によって様々に変わるが、一般社会でも同様である。年齢と共に、物事に興味が薄くなり、疑問を持つことも少なくなってきてしまったが、既成概念を捨てて、可能性を追求することは必要である。これが、水平思考であり、イノベーションにつながるのであろう。若い人には訓示として話をするが、自分に振り返ってみるといささか恥ずかしい。ホノルルマラソンは難しいかもしれないが、可能性だけは思考してみようかと思っている。

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加藤 泰助(日本知的財産協会 2007年度理事長)

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