役員談話室

WIPOアフリカファンド事業(ジンバブエ、南ア)会議への派遣に際して

 以前(2014年10月27日〜30日)の派遣ですが、初めてのアフリカ出張ということで、紹介したいと思います。

【初めに】

 WIPOからの招待により、WIPOアフリカ・ファンド゙事業「ARIPO代理人育成ワークショップ゚」への参加、同「南部アフリカ開発共同体(SADC)裁判官啓発コロキアム」での講演及び 関係機関との意見交換を行うため、ARIPO(ジンバブエ ハラレ)及び南アフリカ プレトリアを訪問することになりました。
 当時、アフリカと言えば、エボラ出血熱まっさかりであり、本当に大丈夫なのかどうか?ましてや、どのように行くことができるのかどうか?と、行くことを決意したものの、行くまでの大変さ、及び飛行機を予約したものの、片道(名古屋⇒香港⇒ヨハネスブルグ⇒ハラレ)、24Hもかかることもわかり、大変だと後悔したものでした。

【ジンバブエ ハラレ】

 ARIPO(アフリカ広域知的財産機関)は、ハラレにあり、建物については、少し大きめの家そのものであり、我々が想像していたJPO, EPOとは相当かけ離れたものでした。ARIPOでは、 知財専門家の人材育成に 関する議論があり、加盟国に対して、知財の重要性を訴えていました。我々の訪問に際しては、ジンバブエ法務副大臣との面談もあり、審査官教育のための派遣を特許庁にお願いしていました。 昼食もよばれましたが、日本の口にも合い、相当驚きました。
 ジンバブエは、イギリス領から独立したこともあり、国民の識字率(教育が熱心)はアフリカ1であるとのこと。また、言語は英語を基本としており、コミュニケーションは問題ありません。ただし、自国には産業がほとんどなく、物価高騰、失業率も相当高くなっています。
 今回、特許庁同行もあり、ジンバブエ日本大使館に招待されました(大使館に招待されることも初めての経験)。平石大使は、気さくな方で、ジンバブエの事情を説明していただき、奥様の琴による歓迎、驚いたのは、現地で雇っている人が、日本語で、「上を向いて歩こう」を、アカペラで歌ったことでした。大変おいしい日本食(日本人板前による)を堪能しました。
 ジンバブエの産業はほとんどないと言いましたが、現在は流通していない有名なジンバブエドル(100兆ジンバブエドル)は、空港で買うことができます。もう流通していないのに、新札が入手?疑問です。

  • ジンバブエ日本大使館
  • 100兆ジンバブエドル

【南アフリカ プレトリア】

 プレトリアでは、10/29-30に、南部アフリカ開発共同体(SADC)コモンロー諸国向け裁判官啓発コロキアムが開催されました。
 この中では、模倣品・海賊版の規模及び影響、刑事・民事手続における証拠収集、仮処分等を議論するとともに、増加するインターネット上での侵害事例など近時の裁判例の傾向をレビューしました。 出席者は、近隣の裁判官であり、中には最高裁判所の裁判官も参加されており、重要な会議と認識しました。
 WIPOからは、若い女性に対する、劣悪品(例:ピル錠剤)による、健康被害が報告されると共に、ブランド被害も多く、多くの模倣品が遠くアフリカにも蔓延していることが報告されました。
 一方、JIPA(私がプレゼンター)からは、アフリカでの模倣品(特に、自動車部品関連)の現状と経済発展に対して知財制度の整備の必要性について訴えました。
 プレトリアは、日本の大都市のように、高速道路が整備され、隣国であるジンバブエとは、大きな相違がありましたが、一方で、プレトリアのほうが治安が悪いとのことも聞き、貧富の差が激しいのを 実感した次第です。

【最後に】

 病気にもかかることなく、無事に日本に帰ってきたこと(往復2日間)に、当時、感謝したものでした。  
 JIPAの副理事長として、このような機会を得て、アフリカ事情を垣間見ることができたことは、貴重な体験となりました。知財という共通言語、共通分野で、グローバルに話ができるということを、今一度再認識した出張でした。
 今後、グローバルに領域が拡がる中で出てくるであろう多くの課題を、JIPAの総力で対応していきましょう。


鈴木 嘉浩(2015年度 副理事長)

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