役員談話室

戸田 裕二(日本知的財産協会 理事長)

「JIPA理事としての視点」と「知財部門のリーダーとしての視点」2つの視点で深掘りする
知財業界の今

コロナ禍というピンチは
JIPA及び会員企業知財部門の飛躍のチャンス
JIPA活動の変化
 コロナ禍にあって、緊急事態宣言が出されていた4月、5月のJIPA委員会・プロジェクト・部会、研修などの多くの活動は中止・延期などの措置をとり、理事会等一部の会議のみオンラインで開催してきました。 6月以降は、JIPA事務局にて策定したガイドライン「新型コロナウイルス感染を受けて のJIPA会合(活動)のあり方」に従って、活動を再開しております。会場の人数を定員の1/2以下にすることを始め種々の対策を講じました。
 多くの委員会・プロジェクト・部会、研修では、リアル会合とリモート参加のハイブリッド化など種々の工夫を行っており、大変頼もしく感じております。例えば、関東・関西部会はオンデマンドのビデオ配信によってタイムシフト視聴が可能になったおかげで昨年度より参加者が大幅に増加しました。 知財変革リーダー育成研修の最終報告会では、リモートでのオンライン参加が可能となったため、名以上の理事が参加し、異業種企業の次世代知財リーダーに対して的確なアドバイスや熱いエールを送るなど、バーチャルではあるもののJIPAの強みである「人のつながり」から「リアルな化学変化」や「新たな価値創出」が起こり得るのではないかという予感がしました。
DXの波に乗る
 こうした工夫は、D X( デジタルトランスフォーメーション)の取組みの一つだと思います。第四次産業革命、Society5.0といったデジタル新時代を迎え、DXの大きな波は、新型コロナウイルスの影響により一気に加速していくでしょう。
 チャールズ・ダーウィンは「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びる のでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化に適合できる者である」と主張したといわれています。
 JIPA活動を、DXの実証実験の場として捉え、コロナ禍というピンチをチャンスに変え、新たな価値を生み出していくことができれば、JIPA及び会員企業の知財部門も一層の飛躍が期待できるのではないかと感じています。一緒に頑張りましょう。
「技術」「法律」「経営」3つの視点でコロナ禍に立ち向かう
 コロナ禍への対応は、「技術」「法律」「経営」といった融合領域へのチャレンジであり、知財業務と共通性があるように思われます。知財部門のリーダーが以下のような複合的な視点を持ち、一人称で考え行動することが重要ではないでしょうか。
「技術」の視点
 新型コロナウイルスの感染者数のみではなく、実効再生産数Rtなど他のファクターに 着目して自らデータ分析を行い「想像力」を高めてみては如何でしょうか。
「法律」の視点
 政府や自治体の宣言・対策、会社のガイドラインの運用を巡っては、社員・家族・取引先の健康(安全・安心)を考え、高い倫理観をもって実行していく必要があります。
「経営」の視点
コ ロナ禍という非常時であっても知財部門として「やるべきことをしっかりやる」: 発明創生・権利化業務などの 
  基本業務を、可能な限り滞りなく行い、経営幹部の信頼を得ることが大切です。
平時では難しい業務改革の断行 : テレワーク(在宅勤務)を経験したことによって、社員のマインドセットは大きく
  変化しています。ニューノーマルに向け、知財業務フローや業務分担の見直しなどのトランスフォーメーションの
  絶好のチャンスだと思います。
知財オープン化による社会貢献 : 「競争」よりも「協調」を重視し、「COVID-19と戦う知財宣言」などへの参加を
  検討し、社会共通の課題に取組む姿勢を示すことも選択肢の一つだと思われます。
日立知財部門での改革
 この数カ月で一番大きな出来事は、日立ABBパワーグリッド(HAPG)社とのオンラインミーティングでした。HAPG社は、ABB社のパワーグリッド事業を買収して7月1日に設立した、グローバル1の送変電事業会社です。
 HAPG社では、知財業務もコロナ禍以前からリモートワークが導入されており、ス イス・スウェーデン・アメリカ・中国・インド等のグローバルな仲間と一緒にOne Teamで仕事ができることに興奮しました。HAPG社から多くの“パワー”をもらい業務改革に繋げ ていきたいと思います。

(季刊じぱ 2020年秋号 理事's eye より)

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