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会務報告&部会報告
関西化学部会(第3回)
時 | 2021年1月28日15:00-17:30 |
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所 | 日本知的財産協会 関西事務所 (WEB開催) |
人 | 大野 業種担当役員、池嶌、永田、片山各幹事、Web参加 75名 |
議 事
1. 会務報告
本年度関西化学部会の構成、年間活動方針および活動計画について、報告を行った。2. 講演
演題 | 『開発品導入/M&Aにおけるデュー・デリジェンス(DD)と契約交渉』 |
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講師 | 国立循環器病研究センター・産学連携本部長 浅野 滋啓 氏 |
講演概要
(1)デュー・デリジェンス(DD)とは
デュー・デリジェンス(DD)とは、会社や開発品のリスク評価及び資産価値の評価のための調査と検証をいうが、事実と証拠に基づき行い、経営者や株主に合理的に説明できるようにする上でも必要な作業である。買い手側の目的には、自社に足りない新技術・開発品やリソースの外部からの獲得、新規事業・異分野への参入などが挙げられるが、「時間をお金で買う」という考え方もできる。
獲得対象となる会社の重要な人財(キーパーソン)が買収を契機に退職されてしまう懸念があれば、retention bonusの支給等の引き留めの手立て検討も必要である。
(2)DDプロセス~全体の流れ
DDプロセスの全体の流れは一般に、①”ノンコン情報”による評価検討、②売り手側とCDA契約締結、③買い手側への開示要求資料リストの送付、④DD評価(オンライン又はオンサイト)、⑤売り手側との交渉、⑥売り手側による一次選考、⑦Confirmatory DD、⑧売り手側と更なる交渉、⑨売り手側による最終選考、⑩契約締結、プレスリリース、⑪取引の実行(クロージング)となる。(3)DDを行う前に(事前・準備作業)
まず、対象となる買収候補の会社や開発品を公開情報で事前評価し比較検討の上絞っていくことになるが、通常の社内の研究開発部門と切り離したチームを編成し、自社研究開発とのコンフリクトを回避するのが望ましい。その上で、CDAを締結し秘密情報を管理していく。(4)DD実施(具体的な作業)
実際のDDは極めてタイトなスケジュールで行われ、大量の書類Reviewと報告書作成に追われることになる。DDのチームは事業開発部門をリーダーとして、知財・法務以外に、経理・会計部門、製造部門、研究部門、開発部門、営業部門、IT部門、人事部門など様々な部門の各専門家により構成される。M&A等案件の規模によっては数十~100名ほどにもなり、非常に多くの資料やデータをReviewすることになる。経験が浅い担当者には、まずは教育と指導も必要になる。相手から受領した秘密情報は”もらった”のではなく、あくまでも”一時的にお預かりした”だけであり、DD期間中はアクセス権を限定し厳重管理し、DD終了後は契約に従い確実に返却又は廃棄する。従って、資料や情報が一元管理されていないと廃棄等が大変な負荷になる。
また、最初から全ての秘密情報が開示されるとは限らず、疑問点は必ず質問する。DDで知財部門は、特許保護状況調査・FTO調査・訴訟中の事案分析のために、関連特許包袋、相手側が取得した弁護士見解書、訴訟記録などをReviewして評価することになる。相手側が開示しないまたはconflict回避の関係で自社も開示を受けたくない場合の対処法としては、”Attorney’s Eyes Only”を活用する方法がある。それ以外にも、社外の弁護士・弁理士・会計士等を活用することがある。また、開示されなかった点(他社の特許問題で警告を受けていないこと、現時点で認識している他社特許侵害リスクがないこと等も含む)については、相手側に表明保証させる条項(Representation and Warranty)を設けることが大切である。限られた短期間で実施せざるを得ないDDでは、問題点をすべて洗い出す出すことには限界があるからである。この表明・保証で担保すべき対象は、①DDにおいて、売り手側が有する情報がすべて開示されたこと、②開示された情報が正確であることの2点である。また、対象となる会社や開発品に関する重要な取引先や仕入れ先との契約において、経営権の移動に対応するChange of Control条項の有無の確認は極めて重要である。なぜなら、買収や導入などに伴い、Change of Control条項の規定により重要な取引先や仕入れ先との既存契約が解除となると、開発品導入/M&Aを行ったそもそもの目的が果たせずその後の会社の事業に多大な影響が及ぶからである。このようにリスク回避のため、相手方が有する既存契約書のチェックは極めて重要である。
(5)DD実施後に行うこと(事後・検討作業)
各部門による専門的な観点からのDD評価終了後、それらをまとめた総合報告書を作成する。通常、リスクの発生確率とダメージの程度など僅かパラメータ1つでも評価は大きく変わるため、例えば楽観値と悲観値の2つのシナリオで示すことも多い。会社としてのGo / No Goが決断されると先方に具体的な経済条件も含めた条件提示を行う。(6)先方との交渉~契約締結
先方との交渉がまとまったら、契約締結となる。一般に、研究開発や事業部門と異なり、知財や法務部門は牽制部門としてリスク面からストップさせる側になることも多く、甚大な損害発生のリスクが無視できないような場合等、必要な場合には勇気をもってブレーキをかける役割も果たさねばならない。なお、無視できないリスクがどうしても残ってしまう場合があり、対処法としてはエスクローアカウント(Escrow Account)を活用する方法がある。また、当事者の一方が、相手方に対し、ある技術の企業化可能性の評価・検討に必要な情報・資料等を提供・使用させるとともに、当該技術についてランセスを受けるか否かの検討を行う約定の猶予期間を与えた後に選択権を与えるという、オプション契約を先ずは締結することもある。
最後に、交渉にあたっては、たとえ相手が小さい場合であっても、「力」にものを言わせないこと、あくまで対等にGood Faithで誠実に行なうことが肝要である。
3. 質疑応答
(質問1)DDで書類を迅速に適切にReviewするため、しっかりReviewする書類とそうではない書類は、どのように選別するのでしょうか?(回答1)DDに与えられた時間は限られているので、事前準備で、対象会社のHP、特許、文献を調査し、必要により調査会社を使うことで徹底的に予習しておき、何を評価すべきかを選別します。また、事前の調査・情報収集には、今後、特許や情報の調査解析ツールが使われるようになっていくかもしれません。
(質問2)「情報は”もらった”のではなく、あくまで”一時的にお預かりした”だけ」は重要な示唆と思いましたが、情報の取扱いでトラブルになった事例はありますでしょうか?それに備えてどのような体制を構築しておくべきでしょうか?
(回答2)まず、社内でファイヤーウォールをつくることが必要ですが、秘密情報をどのような体制でどのように管理されているか相手からはわからないので、疑いをかけられること自体を防ぐことはできません。そこで、情報管理体制について社内で明確なルールがあったことや情報受領者にこのような情報管理を遵守していたことなどを抗弁できるようにしておくべきであり、このほか、受領する情報は必要最低限にしておくこと、”Attorney’s eyes Only”を活用することなどがあります。
4. 懇親会
今回は、コロナによる緊急事態宣言下であるため、講演会の終了後に懇親会を開催しなかった。関西化学部会(第2回)は中止
関西化学部会(第1回)
時 | 録画2020年9月29日17:10-18:40 配信2020年10月19日~10月30日 |
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所 | 日本知的財産協会 関西事務所 |
人 | 録画 大野 業種担当役員、池嶌、永田、片山各幹事
配信 73名 |
議 事
1. 会務報告
本年度関西化学部会の構成、年間活動方針および活動計画について、報告を行った。2. 講演
演題 | 特許権侵害訴訟の実務と将来の紛争処理に向けた知財管理の注意点 |
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講師 | 青山特許事務所 共同代表 弁理士 田村 啓 氏 |
講演概要
(1)数字でみる特許権侵害訴訟
特許権侵害訴訟における権利者勝訴率(1審)は、全体で26%のところ、当事者が誰かによって勝訴率は大きく変わっており、大企業は33%、中小企業は28%、外国企業は13%である。なお、中小企業が権利者として、大企業に特許権侵害訴訟を提起した場合、勝率は6%と非常に低いことに留意すべきである。また、26%という勝率からみて、日本の特許権侵害訴訟で勝訴は難しいと認識しがちであるが、実際には、和解を含めた権利者原告の勝訴率は約44%にまで上昇する。権利者は必要なときには躊躇せずに特許権侵害訴訟を提起すべきと考えられる。(2)典型的な特許紛争の流れ
典型的な流れとしては、まず、紛争開始前の準備がなされ、警告・交渉が続き、その後、実際の係争として、 侵害訴訟⇒控訴審(⇒最高裁)、場合により同時並行で、無効審判⇒審決取消訴訟(⇒最高裁)が起こり、最後には和解という、4つのステップで流れると考えられる。(3)紛争開始前の準備
侵害訴訟の提起にあたり、特許権者は相手製品を特定する必要があるが、B to B製品や原料・素材の多い化学製品では、識別性と対比性をもって相手製品を特定することが非常に難しいことが多い。ただし、ある程度の蓋然性をもって特定できていれば、被疑侵害者側に具体的な態様の明示義務が生じる。なお、米国や中国等、海外では第三者機関の分析が事実上必須であるところも多いが、日本では自社分析でも内容がきちんとしていれば問題なく認めることが多いと考えられる。今年10月1日から施行される査証制度については、4要件の厳格な運用が予想されており、その実効性や対象が国内に限られる点などの課題も多い。なお、侵害訴訟の提起にあたり、権利者は、相手方からの無効主張やカウンターアクションへの準備が必要である。(4)警告・交渉
警告書の送付は法律上必須ではないが、相手方の実施行為・抗弁の確認や被告も同じ業界であることからビジネス上の信義のため出すのが一般的である。警告書への回答は、侵害論・無効論についてあまり詳細に書きすぎると、訴訟になったときに制約要因になることもあるので注意が必要となる。(5)侵害訴訟/無効審判の関係
侵害訴訟が起きたとき、常に、無効審判が請求されているかというと、そうでもなく、実際には30~40%にすぎない。これは侵害訴訟の中の無効の抗弁だけの場合や、侵害論だけで争われる場合があるためである。無効審判を請求した場合、被告は特許庁と裁判所の両方から有効性の判断が得られるというメリットがあるが、一方で、特許庁の有効判断が先行した場合、裁判所が影響を受ける懸念もある。(6)侵害訴訟(一審)の流れ
訴訟提起は訴状の提出から始まるが、複数の権利がある場合、同時に提訴するのか、別訴にするのか、また、独立クレームを用いるのか、サブクレームを用いるのかを検討する必要がある。次いで、答弁書提出・第1回口頭弁論がなされると、2~3か月に1回の頻度で開催される非公開の弁論準備手続に入るが、現在のコロナ禍下ではTeamsを使ったWEB会議が多くなっている。
その後、技術説明会が開かれ、当事者がスライド等を使用して裁判所に技術の要点等をわかり易く説明するが、裁判官や調査官の質問により、争点に関連して何が気になっているか、といった情報が得られることが多い。
双方当事者の侵害論、無効論の主張が出そろうと、準備手続期日の中で裁判官が侵害の成否と有効性の有無について心証開示を行うことが多く、裁判官は、心証開示後、双方当事者と個別に話し合いの時間を設けて和解の可能性を打診するのが一般的である。当事者は、他国での係争も含めた和解やビジネス上のソリューションも含めた和解をしたいときは裁判外の和解を検討する必要がある。
侵害論から損害論に進むと、裁判所の訴訟指揮に従い、原告、被告が損害額の算定に必要な主張、立証を行うことになる。
次いで、最終口頭弁論を公開法廷で開催し、準備手続中に提出した書面・証拠の正式な陳述等を行ない、最後に判決言い渡しとなる。
(7)無効審判の流れ
無効審判は審判請求書の請求から始めるが、侵害訴訟と同時並行でなされる場合、そのタイミングを検討する必要がある。無効理由を可能な限り整えて提出するため充分な実験などを終えてからにしたいが、侵害訴訟が進行し、あまりに遅くなると侵害訴訟への防御としては時機を逸するという場合もあり得る。審判請求書に記載する無効理由では、進歩性と記載要件の組み合わせでなされることが多い。権利者側の反論が、技術常識について進歩性と記載要件とで矛盾した主張になりやすいためである。なお、化学分野では実験・論文を使った実施可能要件への攻撃が有効であることが多い。クレームに広い構成要件や広いパラメータがあれば、その範囲すべてで実施できないということが化学分野では起こりやすく、無効理由として看過できないためである。次いで、答弁書提出にあたり、権利者は、クレーム解釈について侵害論と矛盾が出ないように注意が必要である。化学分野では反論に実験が必要な場合があり、実験に要する時間との兼ね合いも重要である。
また、訂正請求にあたっては、平成23年法改正下では、『一群』を考慮して異なる訂正の道連れ判断を回避し、複数の独立項(または訂正で独立項に書き換えた従属項)を用いて異なるアプローチの訂正を行うことが極めて重要になっている。
権利者提出の答弁書・訂正請求に対しては、請求人から再反論として弁駁書が提出され、次いで、合議体による当事者の主張の整理と予備的見解、質問を記載した審理事項通知書が送付される。これに対して、口頭審理までに口頭審理陳述要領書提出や口頭審理の準備をすることになるため、短期間に集中した対応が必要になる。
口頭審理は本庁や経産省別館の審判廷に当事者双方出席で開催されるが、合議体による、これまでの当事者提出書面や証拠の確認後、合議体から質問に当事者が回答することになる。合議体によっては、かなり突っ込んだ質問をすることもあるので、事前の準備が重要である。 その後、口頭審理中の合議体の質問への回答や主張の補足として上申書を提出することが多い。口頭では充分な回答がしにくい場合があるためである。
次いで、請求を棄却する場合は、結審通知に続き審決がなされ、請求を認める場合は審決予告がなされる。審決予告ではその後、再度の訂正請求や意見書提出などの手続がなされ、審決に至る。
(8)特許紛争における注意事項
和解のタイミングは極めて重要である。たとえ、一審で勝訴したとしても、二審も含めて最後まで勝ち切れるとは限らないからで、不利な判断が出るリスクを考慮して最も有利な局面で和解の可能性を探ることも重要である。一方で、現在、想定している攻撃・防御がうまく行かない場合のバックアップ、「二の矢」の準備を常に用意し続けることも重要である。例えば、原告であれば、異なる訂正、新たな特許の追加や別訴の準備、被告であれば、追加の無効論、カウンター訴訟の準備である。
社内体制は私見であるが、法的な判断ができる知財部が主導し、訴訟方針について経営陣の十分な理解を得た上で、技術面で事業部(特に研究開発部門)の協力が得られることが理想的であると考える。知財担当者と技術部門のキーマンが、弁護士/弁理士と訴訟チームを作ると成果がでやすい。
(9)将来の紛争処理に向けた日常の知財管理業務
- 出願管理の面では、まず、日本では、米国や中国と異なり、従属クレームの重要性は低いということである(他国では従属クレームを重視して作成すべき)。日本では他国と異なり、紛争になってから、明細書の記載事項の範囲内で、不利益なく、比較的自由に、新たな従属クレームを作成しやすいためである。なお日本では、異なるアプローチの訂正を行う目的のために複数の独立項の方が有利なことがある。
次に、他社の使用が予想される出願は分割してペンディング状態を維持すべきということである。他社の使用態様、有効性を考慮したベストのクレームを立てようとすると、多くの場合、登録時のクレームとは異なってくるためで、日本では登録後に登録時のクレームを拡大するような訂正はできないためである。
また、攻撃される恐れのある他社に対しては、積極的に他社製品をカバーする権利を取得すべきである。他社から侵害を指摘された場合は、カウンターで対抗できるためである。
このほか、防衛目的での自社製品を忠実に記載した出願をすべきである。後に出願された他社の出願によって自社製品がカバーされるリスクが減少するためである。また、化学製品の場合、侵害立証には高度な機器分析が必要になる場合が多く、入手可能な他社製品の分析に基づいて立証可能であるか、という視点を意識したクレーム作成は特に重要である。 - 自社製品・文書の保管では、キープサンプルの重要性が挙げられる。化学製品の場合、事後的にパラメータ特許等が成立するリスクが高いため、先使用権を確保する目的で製造仕様書等の保管、公証等を行う例は多いが、その特許のパラメータを自社製品が備えていたことの立証には、製造時の文書等では十分でない場合があるためである。サンプルの経時変化が大きい場合もあるが、それでもキープサンプルがある場合とない場合とでは打てる手が変わってくる。
- 他社対策では、他社製品の分析と他社権利のウォッチが挙げられる。日常から他社製品を入手・分析し出願へのフィードバックを行なえば、他社製品をカバー可能な権利取得がしやすく、また他社権利をウォッチすることで、将来の紛争に対する初動が早くなるためである。
3. 質問及び回答
(回答)詳しい統計の数字を調査しなければ正確なところは不明ですが、勝訴率26%という数字は、原告に有利な訴訟地として知られる一部の米国地裁(EDTX等)やドイツ(いずれも権利者の勝訴率が50%を越えると言われています)に比べると低い数字ではありますが、その他の主要国(イギリス、オランダ、中国、台湾等)とはほぼ同等の数字ではないかと思います。なお、講演でお伝えしたとおり、裁判所による心証開示後の和解が比較的多く、その多くは原告の勝訴的和解であるという、日本訴訟の審理構造上の特徴を考えると、実質的には、上記その他の主要国よりもやや高めではないかと思います。
(質問2)意匠権、商標権に関する裁判も同じ部分が多いかと思いますが、法域によって大きく異なる点があれば、お教え願います。
(回答)私自身は、特許権侵害訴訟が専門であり、特許以外では、数件の意匠権侵害訴訟を海外で手掛けたことがあるのみですので、経験に基づく回答は難しいのですが、ご指摘のとおり、訴訟の基本的な審理構造に大きな違いはないと理解しています。もっとも特許と意匠、商標では法域の違いにより、戦い方はかなり異なるのではないかと思います。すなわち、特許訴訟では技術論が主体であるため、会社の技術者や外部専門家(大学教授等)による技術論サポートは極めて重要ですし、技術常識や公知技術の存在を立証するための文献調査の結果も訴訟の成否を決める重要なファクターとなります。一方、意匠権についていえば、当該分野のデザインの流れの中で意匠の要部が認定されるため、公知意匠の調査と分類が侵害論/無効論の双方に大きな意味を持ちますし、その製品の外観を需要者がどのように認識するかという点に関して製品の流通の仕方や顧客での使われ方といった情報も重要だと理解しています。また、商標権侵害訴訟や不競法の商品等表示に係る訴訟については、当該商標や商品等表示の周知・著名の程度が裁判所の判断に大きく影響するため、そのための証拠収集をどこまで徹底して行えるかが訴訟の成否を決める一つのファクターになり得るのではないかと思います。
(質問3)「大阪地裁は独自の判断をすることがある」との説明がありましたが、これは分野に限らない話でしょうか?また、化学分野では、東京地裁と大阪地裁とではどちらが向き不向きとかありますでしょうか?
(回答)「大阪地裁は独自の判断をすることがある」と申し上げたのは、自己の経験や実務家同士の雑談を通じてのやや感覚的なコメントだったのですが、これは特定の技術分野を念頭においたものではなく、むしろ法的な論点に関して大阪地裁が独自の判断をする可能性について触れたものでした。たとえば、ロジックとして合理性はあるが、過去の東京地裁の裁判例の流れとは合わない主張をしたいような場合には、大阪地裁にいくことでチャンスが高まるのではないか、というような意味でした。したがって、化学分野等、特定の技術分野でどちらが良いと一概に言えるものではない、と考えています。
*ご講演資料の修正
スライドNo.41
7-3.弁駁/審理事項通知/陳述要領書
「③弁駁書(被請求人)」
⇒(正)『③弁駁書(請求人)』
「(請求人の場合)弁駁書への反論」
⇒(正)『(被請求人の場合)弁駁書への反論』
4. 懇親会
講演会(録画)の終了後、講師と幹事間の意見交換、及び親睦を目的とした懇親会を開催した。