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〈シンガポール〉ASPEC文書提出ガイドライン公開

 ASEAN IP Officeは,2018年5月21日,ASEAN Patent Examination Co-operation(ASPEC)を使用する申請者のためのガイドライン,“ASPEC Document Submission Guideline” (「ASPEC文書提出ガイドライン」)を公開した1)。
ASPECプログラムとは,2009年6月15日に開始されたASEAN域内で最初の特許審査協力プログラムであり,ブルネイ・ダルサラーム,カンボジア,インドネシア,ラオス,マレーシア,フィリピン, シンガポール,タイ,ベトナムの全9か国の特許庁が参加している。出願人がASEAN域内で同一の特許出願を複数の特許庁にした場合,より早期に審査を終了した特許庁(第一国特許庁)の審査結果を 他の特許庁(第二国特許庁)に参考資料として提出することができる。第二国特許庁は,提出された審査結果を受け入れる義務は無く,国内法に基づいて特許化するか否かを決定する。出願人は, 第二国特許庁に対し要件を満たして正しく申請を行うことで,当該第二国特許庁でのより迅速な権利化が可能となる2)。
「ASPEC文書提出ガイドライン」は,ASEAN各国特許庁の申請要件をASPEC申請者に分かり易く案内することを目的とし,ASPEC申請者がより効果的に第二国特許庁での早期権利化を実現するために 満たすべき申請要件と留意事項を記載したもので全8頁からなる。
まず,ASPEC申請者が第二国特許庁に対して申請する出願は,第一国特許庁での出願との関連性を有し,第一国特許庁での出願審査結果と対応付けられていなければならない。すなわち, 1.両出願がパリ条約に基づく優先権主張出願とその基礎出願の関係にあること,2.両出願がパリ条約又はWTOの締約国における同一の出願を優先権の基礎としていること,3.両出願が 同一のPCT出願の国内段階移行出願であること,のいずれかを満たしている必要がある。
同ガイドラインには,ASPEC申請手続きの要点も分かり易く記載されている。たとえば,ASPEC申請フォームは第二国特許庁に提出しなければならないが第一国特許庁への提出は不要である,とか, 全書類英語で提出する必要がある,などが各必要書類の列挙などとともに箇条書きされている。そのほか,各国特許庁が求める必須要件を各国ごとに示した比較表や,申請フォーム,第二国特許庁の 問い合わせ先やよくある間違いなどが簡潔に示されており,ASEAN域外の外国の出願人にとっても利用し易いものとなっている。巻末には,改善提案等利用者から気づいた点などのフィードバックを 募っており,その提出先はシンガポール特許庁となっている。また,本ガイドラインが,定期的に改訂されることについても言及している3)。

(参考ウェブサイト)
1)https://www.aseanip.org/News-Events/Latest-News-Events/ctl/Details/mid/1956/aid/58
2)https://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/nenji/nenpou2016/honpen/0301.pdf
3)https://www.aseanip.org/Portals/0/ASPEC/ASPEC%20Document%20Submission%20Guideline%20-%20 Release%2021%20May%202018.pdf?ver=2018-05-21-154329-513

(参照日:2018年6月11日)

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