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〈中国〉「中華人民共和国電子商取引法」が2019年1月1日から施行

 「中華人民共和国電子商取引法」(EC法)が,第13期全国人民代表大会常務委員会第5回会議で採決が行われ,可決された(2018年8月31日)。2019年1月1日から施行される。 中国初のEC分野の総合的法律として,ECの各主体の合法的権利を明確に規定し,ECの商行為を規範化し,ネットショッピングを利用する消費者を法律によって保護するために 設けられた法律である。
 中国のインターネット市場は,昨年度31兆円規模と言われており,アリババや京東商城(JD.com)などECプラットフォームからWeChat等のSNSまで急速に拡大を続けている。
 電子商取引分野の特徴として,健全な取引,知的財産権保護,競争排除からサイバーセキュリティや個人情報保護等までカバーする範囲が広く,それらの変化のスピードも速く, これまでの一般法や行政法,また政府通達などだけでは対応が難しくなってきている。起草から公布まで5年をかけ,3回の公開意見募集,4回の審議を経て成立した。
 電子商取引法は,全7章89条からなり,消費者を含む各主体の権益均衡,電子商取引の規範化,経営主体の義務,サイバーセキュリティ及び個人情報保護などの電子商取引の規範化, 知的財産権の保護,不正競争の防止,電子商取引契約など多方面の影響を加味し,処罰規定を含むものとなっている。
 「中華人民共和国電子商取引法」は,日本企業の中国市場における事業拡大において,知っておくべき新しい法律であり,知的財産権侵害の適用について認識しておくべき であると考える。
 そこで,知的財産の侵害に関係のある条項と違反した場合の罰則が規定されている条項を以下に記載する。
 「第42条 知的財産権者はその知的財産権が侵害されていると判断した場合,電子商取引プラットフォーム運営者に取引やサービスの削除,遮断,リンクの切断, 終了など必要な措置を講じるよう通知する権利を有する。通知には,侵害を構成する初歩的証拠が含まれていなければならない。電子商取引プラットフォーム運営者は 通知を受領後,速やかに必要な措置を講じるとともに,プラットフォーム内の事業者にその旨を通知しなければならず,必要な措置が速やかに取られず,損害が拡大 した部分に対してプラットフォーム内の事業者と連帯して責任を負うものとする。誤った通知によりプラットフォーム内の事業者が損害を受けた場合,法律に基づき 民事責任を負うものとする。悪意のある誤った通知があり,プラットフォーム内の事業者が損害を受けた場合,賠償責任は2倍とする。」
 「第84条 第42条,第45条の規定に違反し,プラットフォーム内の事業者による知的財産権侵害に必要な措置を講じなかった場合,関連の知的財産管理部門が期限を 定めて是正を命じる。期限を過ぎても是正しない場合,5万元以上50万元以下の罰金を科す。情状が深刻な場合50万元以上200万元以下の罰金を科する。」

(参考ウェブサイト)
中国人大網
http://www.npc.gov.cn/npc/lfzt/rlyw/2018-08/31/content_2060827.htm

(参照日:2018年10月26日)

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