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〈韓国〉韓国改正特許法・不正競争防止法が2019年7月9日施行へ

 特許法および不正競争防止法および営業秘密保護に関する法律の改正案が,2018年12月7日に韓国の国会を通過し,2019年1月8日に公布され,2019年7月9日から施行されることとなった。主な改正点は懲罰的損害賠償制度の導入,営業秘密の侵害行為などに対する罰則強化などである。  以下,主な改正点について解説する。
  1. 懲罰的賠償制度の導入(特許法第128条第8項および第9項(新設),不正競争防止法第14条の2第6項,第7項(新設))
     韓国特許庁の分析によると,韓国特許侵害訴訟での損害賠償額の中間値は六千万ウォンで,米国のそれの9分の1に留まっていた。これは現行法が実損害賠償を原則としているためで, 特許侵害の被害企業の補償および特許侵害行為の抑制の観点で問題があった。これに対し,改正法では,他人の特許権,営業秘密を故意に侵害している場合には,損害額の3倍の範囲内で 損害賠償が認められることとなる。なお,侵害行為が故意であるかどうかを判断する際は,侵害者の優越的地位の有無,故意の程度,侵害行為の期間及び回数,侵害行為によって侵害者が 得た経済的利益の程度などが考慮される。
  2. 実施料の賠償規定の改正(第65条第2項など)
     現行法では,特許出願された発明や特許権などを侵害した者に請求できる実施料相当額について,発明の実施を通じて「通常」受けられる金額としており,損害額が低く算定されるとの 問題が指摘されていた。これに対し,改正法では,「合理的に」受けられる金額に改め,特許権者らの補償強化を図る。
  3. 営業秘密の侵害行為などに対する罰則強化(不正競争防止法第18条第1項,第2項)
     現行法では,営業秘密の侵害行為に対する罰則として,営業秘密を外国で使うまたは外国で使われると知りながら侵害した場合,10年以下の懲役又は1億ウォン以下の罰金, その他の場合,5年以下の懲役又は5千万ウォン以下の罰金と規定していた。改正法では,それぞれ15年以下の懲役又は15億ウォン以下の罰金,10年以下の懲役又は5億ウォン 以下の罰金に引き上げ被害救済を強化する。
  4. 特許権者等の立証責任の軽減(特許法第126条の2(新設))
     現行法では,例えば方法発明,製法発明にかかる特許権の侵害訴訟では,侵害者が単純否認の立場を固持する場合,侵害行為に関する立証責任を担う特許権者としては侵害事実の立証に 困難があった。これに対し,改正法では,特許権者または専用実施権者が主張する侵害行為の具体的な行為態様を否認する当事者自らに,具体的な行為態様を提示する義務が課される こととなる。すなわち,改正法では,立証責任が原告から被告に転換されることとなる。
  5. 営業秘密の要件緩和(不正競争防止法第2条第2号)
     現行法では,一定の要件を満たす生産方法,販売方法および営業活動に有用な技術上,又は経営上の情報が合理的な努力によって秘密に維持されなければ営業秘密として認められなかった。 改正法では合理的な努力がなくても秘密に維持されたのであれば営業秘密として認められることとなり,要件が緩和された。

(参考ウェブサイト)
韓国特許庁プレスリリース(韓国語)

http://www.kipo.go.kr/kpo/user.tdf?a=user.news.press1.BoardApp&board_id= press&cp=4&pg=1&npp=10&catmenu=m03_05_01&sdate=&edate=&searchKey=&searchVal=&bunryu=&st=&c=1003&seq=17266

JETRO(韓国知的財産ニュース2018年12月前期)

https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/kr/ip/ipnews/archive/ipn1812-380.pdf

(参照日:2019年1月15日)

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