専門委員会成果物
特定可能な最小ユニットが非侵害の機能を含む場合，機能に基づく損害賠償額の配分計算が必要である判決をCAFCが支持した事例
CAFC判決 2018年1月10日Finjan, Inc. v. Blue Coat Systems, Inc.
［経緯］
地裁における審理の公判段階に於いて，Ｂ社はＦ社の上記４件の特許を侵害したとして，約44億円の賠償額をＢ社が支払う旨の評決を陪審が行った。この評決を受けて，Ｂ社は法律問題としての 判決（JMOL）を申立てたが，地裁は却下し，前記評決に基づき，Ｆ社の特許をＢ社が侵害したとする判決を下した。
Ｂ社はこの判決を不服として，CAFCに控訴した。
［CAFCの判断］
CAFCは，Ｂ社が’844特許，’731特許，’633特許それぞれを侵害したとする地裁の判決を支持した。一方，CAFCは，Ｆ社が提出した’968特許侵害の証拠は不十分として，非侵害とするJMOLを判示した。続いて，CAFCは，’731特許及び’633特許を対象とする地裁の賠償額を支持した。一方，’844特許を対象とする賠償額について，CAFCは，次の�，�ら�い猟未蠕蘯┐靴拭�
�“鏥真�害技術が被疑侵害品全体を対象としない場合，被疑侵害品の内，侵害している機能の貢献度に基づく賠償額の算定が必要である（Ericsson, Inc. v. D-Link Sys., Inc., 773 F.3d 1201, 1226（Fed. Cir. 2014））。
�■村劼糧鏥真�害品であるクラウドシステムWebPulseは，URLsと悪意のあるソフトのカテゴリを含む80以上のカテゴリとを関連付け，ユーザーがアクセスしようとするURLsに許可を与える。そして，WebPulse の一部であるDRTR
（Dynamic Real-Time Rating engineの略語）が有するURLsを分析する機能は，被疑侵害技術と認定された。
��Ｆ社は，特許侵害を特定可能な最小ユニットがDRTRであると主張した。この主張に基づき，WebPuls全体に対しDRTRを経由するデータ量の割合がロイヤリティーに基づく賠償額の算定配分である，とＦ社は主張した。
�ぃ銅劼両綉�主張について，CAFCは，販売可能な最小ユニットが非侵害の機能を含む場合は，賠償額の更なる配分が必要であるとしたVirnetX判決（VirnetX, Inc. v. Cisco Systems, Inc., 767 F.3d 1308,
1326（Fed. Cir. 2014））を引用し，DRTRそれ自体を販売できなくとも，特定可能である最小ユニットであれば，VirnetX判例が適用される，とした。
以上から，CAFCは，悪意のあるソフトと 関係のないカテゴリに対してもURLsの分析を実行する非侵害の機能をDRTRが含むとして，’844特許を対象とする賠償額の判決を地裁に差し戻した。
（青柳 成則）
