専門委員会成果物

継続出願および一部継続出願は特許法第121条の保護対象とはならないと判断した事例

CAFC判決 2018年1月23日
In re:Janssen Biotech, Inc.

[経緯]

 Janssen Biotech, Inc. (J社)の08/013,413出願(’413出願)に対して,審査官は限定要求をした。J社は,これに応答せずに’413出願を放棄し,08/192,093出願(’093出願)を 一部継続出願した。
その後審査官は’093出願に対し,’093出願の一部継続出願に基づく自明型ダブルパテントであるとして,暫定的に拒絶した。
 これに対しJ社は,’413出願において過去に限定要求を受領していることから,特許法121条の規定により,’093出願における自明型ダブルパテントが排除されると主張した。
 審査官は当該主張を認め,その後’093出願は,特許6,284,471(’471特許)として登録された。
 数年後,’471特許の再審査においてJ社は,’413出願に開示されない内容に関する明細書中の記載を削除する補正を行い,’093出願を’413出願の分割出願となるよう要求した。
 しかしながらUSPTOは,’471特許を分割出願に係るものだと認定しなかった。その結果,’471特許は,121条のsafe-harbor provision(宥恕規定)が適用されないものとして, ダブルパテントにより拒絶された。この拒絶は,審査部および審判部において支持されたため,CAFCに提訴した。  

[CAFCの判断]

 CAFCは,これまでの複数の判例では121条の文言通りの厳格な適用が要求されており,宥恕規定は分割出願およびそれに基づき登録された特許のみを保護する,とした。また, 特許が宥恕規定の保護を受けるためには,当該特許に係る出願が登録される時点までに分割出願として適切に指定されていることが必要である,と判示した。

(横山 大輔)

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