専門委員会成果物
PTAの起算日は，PCT出願の優先日から30月であると判断した事例
CAFC判決 2018年2月6日Actelion Pharmaceuticals, Ltd. v. Matal
［経緯］
Actelion Pharmaceuticals, Ltd.（Ａ社）は，2010年７月15日出願のPCT出願（優先日：2009年７月16日）に基づき2012年１月12日に国内出願を提出し，特許8,658,675（’675特許）を得た。
USPTOは当初’675特許に対し優先日から30月の2012年１月16日を「A Delay」の起算日とし，審査が開始された2013年４月26日までの期間から14月を差引いた41日をPTAとして付与した。しかし， Ａ社が再計算を求めたことから，起算日が連邦祝日であることを理由に次の就業日（2012年１月17日）を起算日としてPTAを40日に修正した。これに対し，Ａ社は「A Delay」の起算日は提出日であり PTAは45日であるか，少なくとも優先日から30月の出願日に基づき41日であるとして再考を求めた。しかし，USPTOは再考を拒否したため，特許法154条（ｂ）（４）に基づき地裁に提訴した。
地裁は，「A Delay」の算定に関し，Ａ社の手続不備及び休日不算入を理由にUSPTOを支持する略式判決を下した。Ａ社は，この判決を不服として控訴した。
しかし，CAFCは以下の点を判断し，地裁の判断を支持した。
出願は371条を満たす必要があり，出願人から審査促進の請求があった場合でも371条（ｆ）に基づき30月の国際段階を終了するまでは国内段階を開始できないためUSPTOの判断に誤りはない。
Ａ社は，初期審査において，371条（ｆ）に基づく早期審査の希望を表明するボックスへのチェックを怠っており，様式の使用が任意又は371条（ｆ）を満たす手段が他にあるとしても弁解の 余地はなく，371条（ｆ）に参照されない形式上の文言のみでは請願に一貫性がない。
Ａ社は，出願人に起因しない如何なる遅延期間も出願人の利益とすべき旨主張するが，法はPTAを救済目的で与えるものの「USPTOに起因する審査の必要以上の遅延」のみを回復させるため， 準拠するPCT Rule 80.5に従えば連邦祝日に国内段階を開始することは出来ない。
USPTOは当初’675特許に対し優先日から30月の2012年１月16日を「A Delay」の起算日とし，審査が開始された2013年４月26日までの期間から14月を差引いた41日をPTAとして付与した。しかし， Ａ社が再計算を求めたことから，起算日が連邦祝日であることを理由に次の就業日（2012年１月17日）を起算日としてPTAを40日に修正した。これに対し，Ａ社は「A Delay」の起算日は提出日であり PTAは45日であるか，少なくとも優先日から30月の出願日に基づき41日であるとして再考を求めた。しかし，USPTOは再考を拒否したため，特許法154条（ｂ）（４）に基づき地裁に提訴した。
地裁は，「A Delay」の算定に関し，Ａ社の手続不備及び休日不算入を理由にUSPTOを支持する略式判決を下した。Ａ社は，この判決を不服として控訴した。
［CAFCの判断］
Ａ社は，�―亟蠅脇探�法371条を満たしており「A Delay」の起算日は提出日（2012年１月12日）に基づくこと，�⊇亟蠅汎瓜�に提出した予備的補正に「真に迅速な審査とクレームの許可を 請願する」言葉を付したこと，及び��上記主張が認められずとも特許法371条（ｂ）に基づき休日不算入を考慮しない30月の満了日（2012年１月16日）が起算日となることを主張した。しかし，CAFCは以下の点を判断し，地裁の判断を支持した。
出願は371条を満たす必要があり，出願人から審査促進の請求があった場合でも371条（ｆ）に基づき30月の国際段階を終了するまでは国内段階を開始できないためUSPTOの判断に誤りはない。
Ａ社は，初期審査において，371条（ｆ）に基づく早期審査の希望を表明するボックスへのチェックを怠っており，様式の使用が任意又は371条（ｆ）を満たす手段が他にあるとしても弁解の 余地はなく，371条（ｆ）に参照されない形式上の文言のみでは請願に一貫性がない。
Ａ社は，出願人に起因しない如何なる遅延期間も出願人の利益とすべき旨主張するが，法はPTAを救済目的で与えるものの「USPTOに起因する審査の必要以上の遅延」のみを回復させるため， 準拠するPCT Rule 80.5に従えば連邦祝日に国内段階を開始することは出来ない。
（加藤 義裕）
