専門委員会成果物
クレームの文言解釈が先の訴訟における文言解釈と一致しているかが争われた事例
CAFC判決 2018年3月1日Knowles Electronics LLC v. Cirrus Logic, Inc., Cirrus Logic International （UK） LTD.
［経緯］
Knowles Electronics LLC（Ｋ社）はマイクロフォンを干渉信号から防御するための微小電気機械システムパッケージに関する特許6,781,231（’231特許）を保有する。
Wolfson Microelectronics plc.（Ｗ社）を含む３社は，’231特許は無効であるとして当事者系再審査を請求した。なお，Ｗ社以外の２社は途中で当事者からドロップアウトし，Ｗ社については 当事者がCirrus Logic, Inc.及びCirrus Logic International （UK） LTD.に変更となった。
特許審判部（PTAB）は，当事者系再審査において，’231特許のプレアンブルに記載されている「パッケージ」との文言を「あらゆるタイプの第二レベル接続機構を含む半導体チップ実装」 と解釈し，’231特許のクレーム１〜４は新規性 欠如を理由とする特許無効の審決を下した。
Ｋ社はPTABの審決を不服とし，CAFCに控訴した。
Ｋ社は，控訴審に於いて，PTABはBRI基準に基づき，単に最も広い解釈を採用しただけであり，上記PTABの「パッケージ」の文言解釈は’231特許が審理対象となった先の訴訟 「MEMS Technology事件」（MEMS Technology Berhad v. International Trade Commission, 447 F. App’ x 142 （Fed. Cir. 2011）.）における解釈と異なると主張し，外部資料やMEMS Technology事件の解釈に基づけば，「パッケージ」の文言は「搭載機構（mounting mechanism）による第二レベル接続機構を有する半導体チップ実装」に限定して解釈されるべきと主張した。
以上の理由�，�ら��に基づき，CAFCはPTABの審決を支持した。
Wolfson Microelectronics plc.（Ｗ社）を含む３社は，’231特許は無効であるとして当事者系再審査を請求した。なお，Ｗ社以外の２社は途中で当事者からドロップアウトし，Ｗ社については 当事者がCirrus Logic, Inc.及びCirrus Logic International （UK） LTD.に変更となった。
特許審判部（PTAB）は，当事者系再審査において，’231特許のプレアンブルに記載されている「パッケージ」との文言を「あらゆるタイプの第二レベル接続機構を含む半導体チップ実装」 と解釈し，’231特許のクレーム１〜４は新規性 欠如を理由とする特許無効の審決を下した。
Ｋ社はPTABの審決を不服とし，CAFCに控訴した。
Ｋ社は，控訴審に於いて，PTABはBRI基準に基づき，単に最も広い解釈を採用しただけであり，上記PTABの「パッケージ」の文言解釈は’231特許が審理対象となった先の訴訟 「MEMS Technology事件」（MEMS Technology Berhad v. International Trade Commission, 447 F. App’ x 142 （Fed. Cir. 2011）.）における解釈と異なると主張し，外部資料やMEMS Technology事件の解釈に基づけば，「パッケージ」の文言は「搭載機構（mounting mechanism）による第二レベル接続機構を有する半導体チップ実装」に限定して解釈されるべきと主張した。
［CAFCの判断］
判決では，�。房劼�提示した多くの参考資料に「搭載機構」への限定が適当ではないことを示す記述が含まれており，PTABはBRI基準に基づいて単に最も広い解釈を採用しただけではなく， Ｋ社が提供した全ての外部資料に基づき解釈をしている，と判示した。続いて，��PTABは先の司法判断が適切か否かを評価して，BRI基準に合致しているかを決定する義務があるが，MEMS Technology 事件において，「パッケージ」の文言は「デバイスへの接続と回路への接続の２つのレベルの接続を有するそれ自体で全ての機能を備えたユニット」と定義されており，本件と不一致はない， と判示した。最後に，��MEMS Technology事件において，「コンポーネントがクレーム本文で挙げている要件は搭載可能なパッケージを形成するために（パッケージ内で）一体になっている」と 述べたが，これはプレアンブルがクレーム限定を与えることを説明するためのものであり，パッケージの定義を与えるものではない，と判示した。以上の理由�，�ら��に基づき，CAFCはPTABの審決を支持した。
（柳澤 健一）
