専門委員会成果物

特許法101条の特許適格性に関して,争点効が適用されなかった事例

CAFC判決 2018年4月20日
Voter Verified, Inc. v. Election Systems & Software LLC

[経緯]

 2009年,Voter Verified, Inc.(V社)は,投票システムに係る特許RE40,449(’449特許)の侵害を理由にElection Systems & Software LLC(E社)を地裁に提訴した。このとき,地裁は,’449特許をE社は侵害していないと判断した。そして,E社は,特許法101条の特許適格性を有するとしたV社の主張に対して応答しなかったが,地裁は,’449特許は101条の特許適格性を 有するとした。その後,CAFCは地裁の当該判断を支持した。
 2016年,V社は,’449特許の特許侵害を理由にE社を地裁に再度提訴した。E社は,’449特許のクレームが特許法101条に基づき無効であると主張し,本件却下の申立を提出した。一方で,V社は,争点効が適用されE社が再度当該主張をすることは不可能であると主張した。これに対し,E社は,一番目の訴訟と二番目の訴訟の間のAlice最高裁判決(Alice Corp. Pty Ltd. v. CLS Bank International, 134 S.Ct.2347(2014))による法律上の変更があったため,争点効は適用されないと主張した。
 地裁は,E社の申立を認めると判示したが,V社は,当該判断を不服としてCAFCに控訴した。

[CAFCの判断]

  CAFCは,まず,一番目の訴訟と二番目の訴訟の間のAlice最高裁判決による法律上の変更の有無を検討した。その結果,Alice最高裁判決は,Mayo最高裁判決で設定された2 ステップテストを適用したものであり,そもそも,Mayo最高裁判決は,一番目の訴訟と二番目の訴訟との間に発生していないとして,Alice最高裁判決による法律上の変更はなかったと判断した。
 しかしながら,CAFCは,一番目の訴訟では,特許法101条に基づく問題が実際には争われておらず,特許法101条に基づく問題が,最終判決に対して重要かつ必要でなかったとして,争点効が 適用されないとした。

(増原 宏樹)

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