専門委員会成果物
例外的事件に該当せず弁護士費用の敗訴当事者払いを認めないと判断した事例
CAFC判決 2018年6月11日Stone Basket Innovations, LLC v. Cook Medical LLC
［経緯］
Stone Basket Innovations, LLC（Ｓ社）は，結石除去用の医療器具に関する特許6,551,327（’327特許）を保有しており，2015年４月にCook Medical LLC（Ｃ社）を特許権侵害で地裁に提訴した。
Ｃ社は，2016年３月に当事者系レビュー（Inter partes review（IPR））を請願し，特許審判部（PTAB）は，2016年９月に全てのクレームを審理する開始決定を下した。Ｓ社は，2016年12月に不利な
最終判決をPTABに求め，PTABがこの申立を認めたことで全てのクレームが取消しとなった。Ｓ社は，地裁に再訴不可能な訴訟取下げを求める申立を行い，地裁がこの申立を認めた。Ｃ社は，2017年
３月にＳ社に特許法285条に規定される弁護士費用の敗訴当事者払いを求める申立を地裁に行った。
地裁は，この申立を却下した。これを不服として，Ｃ社はCAFCに控訴した。
地裁は，この申立を却下した。これを不服として，Ｃ社はCAFCに控訴した。
［CAFCの判断］
CAFCは，Octane最高裁判決（Octane Fitness, LLC v. ICON Health ＆ Fitness Inc., 134 S. Ct. 1749（2014））に基づき，以下の点１及び２から，地裁の判決を支持し，本件は例外的事件に 該当せず弁護士費用の敗訴当事者払いを認めないとした。- 訴訟における当事者の立場の実質的な優位さが他の事件に比べて顕著であるか：
- �。端劼砲茲襦�327特許の無効主張において，先行資料をクレームチャートで対比しておらず，かつ，この先行資料は特許審査過程で把握されているにもかかわらず， 更なる無効性に関する説明がされていない。
- �◆�327特許の発明者によるデポジション（証言録取）は，「クレームにおける一部の構成要件は新規性がない。」だけであって，クレームの全体を見て特許性を判断することから， 無効理由とはならない。
- � き△了�実より，特許権侵害訴訟におけるＳ社の立場は例外的とは言えない。
- 不当な争い方が用いられたか：
Ｓ社は，地裁にクレーム解釈を提出し，PTABにIPR請願書に対する応答を提出する等，約２年間訴訟を行い，即和解に持ち込む安易な訴訟をしておらず，不当な争いが用いられたとは言えない。
（濱口 礼雅）
