専門委員会成果物

WIPOが2017年の特許,商標および意匠の国際出願動向を発表

 2018年3月21日,世界知的所有権機関(WIPO)は2017年の特許協力条約(PCT)に基づく国際出願,マドリッド制度による商標の国際出願,ハーグ制度による意匠の国際出願の動向を発表した。
 2017年におけるPCTに基づく国際出願の件数は243,500件で前年比4.5%増加した。出願国TOP5は,米国(56,624件),中国(48,882件),日本(48,208件),ドイツ(18,982件),韓国(15,763件) と続き,前年から日本と中国の順位が逆転した。また国際特許出願の約半分はアジアから出願され(49.1%),ヨーロッパ(24.9%)および北アメリカ(24.2%)で4分の1ずつを占めた。このことについて, WIPOのフランシス・ガリ事務局長は,イノベーションにおける地理上の大きな変動の一部であると述べている。
 出願人のTOP5はファーウェイ,ZTE,インテル,三菱電機,クアルコムと続き,TOP10には日本企業としてソニーが9位に入った。教育機関の出願人別順位ではカリフォルニア大,マサチューセッツ 工科大,ハーバード大等の米国の大学がTOP5を独占しており,アジアからは韓国の大学がTOP10に3校含まれている。日本からは東京大学が13位,東北大学が20位に入った。
 商標の国際出願については,2017年に56,200件と前年比5%増加した。出願国TOP5は米国(7,884件),ドイツ(7,316件),中国(5,230件),フランス(4,261件),イギリス(3,292件)と続き, フランスのロレアルが出願人で1位だった。日本企業では資生堂が42位だった。
 意匠の国際出願については,出願にかかる意匠数が19,429意匠と前年比3.8%増加した一方,出願件数は5,213件で前年比6.7%低下した。出願にかかる意匠数のTOP5はドイツ(4,261意匠), スイス(2,935意匠),韓国(1,742意匠),米国(1,661意匠),フランス(1,396意匠)と続き,出願人別順位はサムソン電子,LGと韓国の企業が1位,2位で,日本からは三菱電機が11位に入った。

WIPOプレスリリース(2018年3月16日)
http://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2018/article_0002.html

(参照日:2018年4月20日)

(佐々木 暁嗣)

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