専門委員会成果物

ユーラシア特許機構が2017年度年次報告を公開

  1. 概要
     「2017年は2016年に達成した目標だけでなく,新しい成果も達成した」と長官は言及した。
  2. 主要成果について
     2017年に3,302件の出願がユーラシア特許庁(EAPO)に提出された。
     2017年単年で,3,282件のユーラシア特許が許可されており,これは前年度比6.53%の増加である。
    既に開始しているEAPO-日本特許庁間の特許審査ハイウェイに加え,EAPO-欧州特許庁間の特許審査ハイウェイパイロットプログラムは2017年10月1日に開始した。またEAPOに移行した 国際出願の早期審査パイロットプログラムは2018年8月1日まで新たに延長された。これらの効率化に向けた取り組みにより,平均的な係属期間は1.5か月短縮された。
     2017年11月1日に,EAPOは優先権書類のためのWIPOデジタルアクセスサービス(WIPO DAS)を採用した。これは,出願人が先に出願した先の出願に基づいてユーラシア特許出願の優先権を主張 している状況において,出願人は先の出願の認証コピーではなく,単にDASアクセスコードをEAPOへ提供すれば良いことを意味している。
     EAPO理事会は,EAPC加盟国の新たな協力形態である工業デザインのための法的保護システムの確立の見通しに言及した。関係するワーキンググループが立ち上げられ,2017年11月にアルメニア, ベラルーシ,カザフスタン,キルギス,ロシア,タジキスタンの専門家を集めたキックオフビデオ会議を開催した。
  3. 技術分野と基礎出願について
     産業分野に大きな変更はなく,前年と類似してほとんどの出願が有機化学,製薬分野に関するものであった。
     国際出願は2017年にユーラシア出願の大部分を占め,合計2,523件,すなわち全出願の76.4%であった。
  4. 異議申立て,及び審判について
     2011から2017年の間における異議申立てに関する審決は16件であり,全部取消し,一部取消しの審決は全体の62.5%(10件),請求棄却審決は37.5%(6件)であった。
     EAPOは,異議申立てにおける特許の取消しの手続きが特許の質を強化するための効果的なメカニズムの1つというよく確立された事実を証明している点に言及した。
     EAPOは,注目すべきことに,異議申立てされた特許の半数以上(56.3%)が,許可された状態のままか,補正された形式で維持されている点に言及した。
     EAPOは,異議申し立てと審判の記録は,関連する手続きのさらなる改善を要求している点に言及した。
     この改善には,2017年度の定例会議でEAPO管理協議会によって承認された特許規則の改正の結果としてのユーラシア特許取消しへの審判手続きが含まれる。

ユーラシア特許機構プレスリリースから抜粋
https://www.eapo.org/ru/publications/reports/report2017/index_en.html

https://www.eapo.org/ru/publications/reports/report2017/oppositions_en.html

(参照日:2018年5月22日)

(仁井田 大輔)

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