専門委員会成果物

欧州特許庁,南アフリカと協力強化プログラムを開始

 欧州特許庁(EPO)のBenoît Battistelli長官と,南アフリカの企業知的所有権委員会(CIPC)のコミッショナーであるRory Voller長官は,EPOにて協力強化に関する覚書にサインを行った。
 Battistelli長官は,「この協定へのサインは,EPOにとって重要な出来事であり,また我々が近年,特許分野において南アフリカとの間に築いてきた緊密なパートナーシップを証明するものである」と 述べた。また,Battistelli長官は,「国際的な最善の運用と一致する形で,また企業や発明者の利益のため,南アフリカの特許システムを更に発展させるようにCIPCの協力パートナーとして選ばれた ことを喜ばしく,また誇りに思う」と加えた。強化された協力スキームの下,パートナーシップの相手国(例えば南アフリカ)は,自国の法的枠組みの中で特許を付与する際に,EPOのサーチ, 審査結果を再利用することが可能である。」と述べた。
 Voller長官は「相互協力の開始以来,EPOと我々のパートナーシップが達成している結果についてとても喜ばしく思っている」と述べた。また,Voller長官は「南アフリカは,実質的なサーチ及び 審査の導入を含む特許法改正のフェーズを開始した。我々にとって,アクセス可能で,強固かつ高品質な特許付与システムを構築することは重要である。そして,その特許システムは我々の国へ 自信をもたらし,南アフリカ特許出願の出願人,南アフリカ国民に最大の利益をもたらす。我々は,南アフリカのサーチや審査の能力を高めるために,また特許権保護への理解と教育の水準を 向上させるために,我が国の知財ポリシーに沿う形で,今回の協力強化を通じてより強固なパートナーシップを構築することを望む。」と述べた。
 協力強化プログラムは,南アフリカの能力を発展させることを目的とするが,その一方で,ヨーロッパのユーザーや産業にとっても,南アフリカのマーケットで発明を保護する際に,同様の条件を 期待できる状況を提供するものである。覚書の下,EPOは,CIPCが特許出願に対する実質的なサーチ及び審査を実施することをサポートする。この目的のために,EPO及びCIPCは,特許に関連する 南アフリカの新しい知財ポリシーを実施するために必要な検討に協力することを合意した。
 高品質でタイムリー,かつ費用効率の良い審査を出願人に提供する一方で,作業の重複を省き,能力を最大限に活用するために,CIPCがEPOの審査結果(例えば,見解書を含めたサーチレポートや 登録特許)へアクセスできるようになった。
 EPOと,CIPCとの間の相互協力は,2017年2月より開始され,2年がかりの計画では,2017年から2019年にかけての枠組みの中で技術的な協力が予定されている。それ以来,EPOとCIPCは, 審査官の研修,サーチツール,データの交換など重要な活動を実施している。

欧州特許庁プレスリリース
http://www.epo.org/news-issues/press/releases/archive/2018/20180629.html

(参照日:2018年7月23日)

(石崎 隆一郎)

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