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〈中国〉中国商標法の改正

　第４次改正商標法が，第13回全国人民代表大会常務委員会10回会議において可決された（2019年４月23日）。改正法は2019年11月１日から施行される。主な改正点は，使用を目的としない悪意の商標登録出願の防止，損害賠償額の引き上げ及び侵害品などの廃棄命令である。以下，主な改正点について解説する。

使用を目的としない悪意の商標登録出願の防止
　「使用を目的としない悪意の商標登録出願」が拒絶理由，異議申し立て理由及び無効理由となる旨が規定された（第４条第１項，第33条，第44条第１項）。さらに上記の商標登録出願に対して行政処罰を与えること及び悪意による商標権侵害訴訟に対して人民法院が法に従い処罰を与えることが規定された（第68条第４項）。
　また使用を目的としない悪意の商標登録出願であることを代理人が知り又は知り得た場合は，その代理をしてはならないこととし（第19条第３項），これに違反した代理人も行政処罰の対象となることが規定された（第68条第１項第３号）。
損害賠償額の引き上げ
　商標権侵害訴訟において損害賠償額は，①権利者の損害額，②侵害者の利益額，③使用許諾費用の倍数のいずれかの方式で，①～③の優先順位にて確定される。今回の改正では，悪意により商標権を侵害し状況が深刻な場合は，③使用許諾費用の倍数を現行の最高３倍から最高５倍へと引き上げることが規定された（第63条第１項）。
　また①～③の方式では確定できない場合，人民法院裁判官が侵害行為の事情を考慮して損害賠償額として法定賠償額を確定する。今回の改正では，法定賠償額の上限を現行の300万元から500万元へと引き上げることが規定された（第63条第３項）。
侵害品などの廃棄命令
　権利者の請求に応じて，原則，登録商標を盗用した偽造商品の廃棄処分を人民法院は命じなければならないことが規定された。さらに権利者の請求に応じて，原則，当該商品の製造に主として使用される材料，器具の廃棄処分を人民法院は命じ，これに補償を要しないこと，また特別な状況においては，上記の材料，器具の市場への流入の禁止を人民法院は命じ，これに補償を要しないことが規定された（第63条第４項）。
　また当該商品について，登録商標を除去しただけでは市場に流入させてはならないことが規定された（第63条第５項）。

（参考ウェブサイト）
国家知識産権局　ホームページ
http://www.cnipa.gov.cn/zcfg/zcfgflfg/flfgsb/fl_sb/1140931.htm
（参照日：2019年９月25日）

日本技術貿易　ホームページ
https://www.ngb.co.jp/ip_articles/detail/1668.html
（参照日：2019年８月27日）

JETRO　ホームページ
https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/ip/law/pdf/regulation/20191101_jp.pdf
（参照日：2019年10月２日）

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