専門委員会成果物

RCE提出後に行われた抵触審査の終了から特許査定通知までの期間は,継続審査によって消費される期間であると判断された事例

CAFC判決 2019年9月16日
Mayo Foundation for Medical Education and Research v. Andrei Iancu

[経緯]

 特許法154条(b)(1)(B)によれば,3年を超えて係争した場合に特許期間の調整(PTA)が認められるが,継続審査請求(RCE)によって消費される期間はこの3年に含まないと規定している。
 Mayo Foundation for Medical Education and Research(M社)の特許8,981,063(’063特許)は,2009年4月9日に出願され,2010年10月14日にFinal Rejectionとなったため,M社はRCEを行った。 ’063特許は,RCE後,特許7,635,757との抵触審査,non-finalのOAを経て2014年11月3日に特許許可となった。
 USPTOはPTAの算出に当たり,RCEの期間は抵触審査の宣言時までではなく,許可通知が送達された時までであるとした。これに対し,M社はRCE後の抵触審査の宣言により一旦審査は終了しており,抵触審査の終了から特許許可の通知までの期間は,RCEの期間に含まれないと主張した。
 USPTOへの再審に続き,地裁でも棄却され,M社はCAFCに控訴した。    

[CAFCの判断]

 CAFCは,USPTOの主張に同意し,地裁の判断を維持した。
 USPTOの規則では,抵触審査が宣言される前に少なくとも一つのクレームが特許許可の状態にあるべきとしているが,拒絶を含むさらなる審査を審査官が行うことも認めている。すなわちPTOの規則は全体として,抵触審査の宣言が特許許可の通知と同等であることを示してはいない。
 継続審査は通常の審査と同様に,出願人が解決を希望する審査に限定されるものではない。特許法132条(b)には,RCEにより,Final Rejectionでの拒絶の根拠を 解消しなければならないといった特別な審査形態が付与されるといったことは示されていないし,USPTOが新たな拒絶の根拠を示した場合には出願人が継続審査を要求できないといった制限もない。
 したがって,RCEが提出されている場合には,抵触審査の終了から許可通知が通達される日までの期間は,出願人が特許法132条(b)に基づいて請求した継続審査によって消費される期間である。

(河内 祥光)

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