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専門委員会成果物
裁判所書記官の署名および裁判所の押印が無い召喚状が被告に送達された日は，米国特許法315条（ｂ）に規定されたIPR請願期間の始期となる「訴状が送達された日」として十分でないと判断された事例
CAFC判決 2019年11月19日Game and Technology Co., Ltd. v. Wargaming Group Ltd., et al.
［経緯］
連邦民事訴訟規則（FRCP）４条には，（ａ）「召喚状は，･･裁判所書記官による署名がされていなければならず，裁判所の押印が付されていなければならない」，（ｃ）「召喚状は訴状の謄本と共に送達しなければならない。」，（ｄ）「被告による送達放棄書を原告が裁判所に提出した時点において正式の送達があったものとされる」と定められている。また，米国特許法315条（ｂ）には，「IPRの請願書が，特許を侵害しているとする訴状が請願者･･
に対して送達された日から１年を超えて提出された場合，IPRを開始することはできない」と定められている。
Game and Technology Co., Ltd.（Ｇ社）は，オンラインゲームを提供するシステムおよび方法に関する特許を保有しており，Wargaming Group Ltd.（Ｗ社）及びその支社が当該特許を侵害するとして，2015年７月９日に侵害訴訟を提起した。Ｇ社は，2015年12月に訴状および召喚状をW社およびその支社に送達したが，召喚状には，裁判所書記官の署名や裁判所の押印が付されていなかった。
Ｗ社は，2016年２月11日に，不適切な訴状送達に対する抗弁，および送達を放棄する趣旨の電子メールをＧ社宛 に送付した。しかし，Ｗ社による送達放棄書が裁判所に提出されることはなかった。
Ｗ社は，2015年12月から１年以上経過した2017年３月13日に，「適切に訴状の送達がされていないため，IPR請願 期限を過ぎていない」と述べ，IPR請願書を提出した。
Ｇ社は，主に以下の２つの証拠に基づき，2015年12月に訴状が送達されたと見なすことができるとし，米国特許法315条（ｂ）に基づき，（Ｗ社によるIPR請願書の提出日は，）IPRの請願期限を過ぎていると主張した。 ��2015年12月14日に訴状が送達されたとする令状送達人による証言，�■彈劼�不適切な訴状送達に対する抗弁を 放棄したことを示すＧ社宛電子メール。
これに対し特許審判部は，裁判所書記官の署名および裁判所の押印が無い召喚状はFRCP４条（ａ）を満たさず，当該召喚状が被告に送達された日は，米国特許法315条（ｂ）に規定されたIPR請願期間の始期となる「訴状が送達された日」として十分でないとする結論を下した。
Ｇ社はこれを不服として，CAFCに上訴した。
なお，Ｇ社は，「W社のG社宛電子メールにおける送達放棄の意思表示は，FRCP４条（d）における正式の送達に相当する。」と，上訴で初めて弁論を行っている。しかしCAFCは，上記弁論は特許審判部において主張されていないため，当該弁論は放棄されたものとして扱われるとして，審議しなかった。
Game and Technology Co., Ltd.（Ｇ社）は，オンラインゲームを提供するシステムおよび方法に関する特許を保有しており，Wargaming Group Ltd.（Ｗ社）及びその支社が当該特許を侵害するとして，2015年７月９日に侵害訴訟を提起した。Ｇ社は，2015年12月に訴状および召喚状をW社およびその支社に送達したが，召喚状には，裁判所書記官の署名や裁判所の押印が付されていなかった。
Ｗ社は，2016年２月11日に，不適切な訴状送達に対する抗弁，および送達を放棄する趣旨の電子メールをＧ社宛 に送付した。しかし，Ｗ社による送達放棄書が裁判所に提出されることはなかった。
Ｗ社は，2015年12月から１年以上経過した2017年３月13日に，「適切に訴状の送達がされていないため，IPR請願 期限を過ぎていない」と述べ，IPR請願書を提出した。
Ｇ社は，主に以下の２つの証拠に基づき，2015年12月に訴状が送達されたと見なすことができるとし，米国特許法315条（ｂ）に基づき，（Ｗ社によるIPR請願書の提出日は，）IPRの請願期限を過ぎていると主張した。 ��2015年12月14日に訴状が送達されたとする令状送達人による証言，�■彈劼�不適切な訴状送達に対する抗弁を 放棄したことを示すＧ社宛電子メール。
これに対し特許審判部は，裁判所書記官の署名および裁判所の押印が無い召喚状はFRCP４条（ａ）を満たさず，当該召喚状が被告に送達された日は，米国特許法315条（ｂ）に規定されたIPR請願期間の始期となる「訴状が送達された日」として十分でないとする結論を下した。
Ｇ社はこれを不服として，CAFCに上訴した。
［CAFCの判断］
CAFCは，Ｇ社が示した上述の�´△両攀鬚蓮ち�達が適切であったことを示すものとして不十分であるとして，Ｗ社によるIPR請願書の提出日は，請願期間を過ぎていないという特許審判部の決定に誤りがあったと結論づけることが できないとした。なお，Ｇ社は，「W社のG社宛電子メールにおける送達放棄の意思表示は，FRCP４条（d）における正式の送達に相当する。」と，上訴で初めて弁論を行っている。しかしCAFCは，上記弁論は特許審判部において主張されていないため，当該弁論は放棄されたものとして扱われるとして，審議しなかった。
（岩田 史子）
