専門委員会成果物

科学技術のホットスポットを紹介するランキングで,東京-横浜エリアが2年連続の首位

  1. 概要
     昨年発表されたグローバル・イノベーション・インデックス(GII)2018では,科学技術の活動拠点として,世界各地から選ばれた100の地域クラスターがランキング入りで紹介された。 2019年1月7日,WIPOはその地域クラスターの中から,上位1〜10位までを「科学技術のホットスポット」として改めて発表した。この調査はGII2017から始まったもので今回2回目となるが, 東京-横浜エリアは2年連続で首位となった。
  2. 調査について
     前回調査のGII2017では,イノベーションの拠点として,国際出願(公開:2011年〜15年)が多い100の地域クラスターがランキング入りで紹介された。今回のGII2018でも,国際出願 (公開:2012年〜16年)に基づく地域クラスターランキングが発表されたが,それに加えて,科学関連の出版物(発行:2012年〜16年)が多い100の地域クラスターランキングも発表された。 なお,今回,WIPOが発表した「科学技術のホットスポット」(世界のトップ10)は,両者の結果を足し合わせた総合ランキングに基づくものである。
  3. ランキングについて
     GII2018に基づき,WIPOが発表した「科学技術のホットスポット」の1〜10位のランキングは以下のとおりである。
     1位 東京-横浜(日本),2位 深セン-香港(中国),3位 ソウル(韓国),4位 サンノゼ-サンフランシスコ(米国),5位 北京(中国),6位 大阪-神戸-京都(日本), 7位 ボストン-ケンブリッジ(米国),8位 ニューヨーク(米国),9位 パリ(フランス),10位 サンディエゴ(米国)
     比較のため,前回調査のGII2017に基づき,WIPOが発表した「イノベーションのホットスポット」の1〜10位のランキングを以下に紹介する。
     1位 東京-横浜(日本),2位 深セン-香港(中国),3位 サンノゼ-サンフランシスコ(米国),4位 ソウル(韓国),5位 大阪-神戸-京都(日本),6位 サンディエゴ(米国), 7位 北京(中国),8位 ボストン-ケンブリッジ(米国),9位 名古屋(日本),10位 パリ(フランス)
     今回のランキングの特徴は,国際出願だけでなく,科学関連の出版物が調査対象に加わった点であるが,トップ10に入った地域クラスターのうち,9の地域クラスターは前回と同じで あったため,全体としては前回とあまり変わらないランキング結果という印象を受ける。しかし,順位に着目すると,科学関連の出版物が多い北京は,昨年の7位から5位に ランキングを上げ,逆の状況にあるサンディエゴは,6位から10位にランキングを落としている。この結果から,一般的には,国際出願の多い地域は,科学関連の出版物も 多いと言える一方,どちらか片方だけが極めて強い地域クラスターも存在することが分かる。
     今回の総合ランキングで首位となった東京-横浜エリアは,国際出願で1位,科学関連の出版物で2位と,いずれも高い評価を得ているが,総合ランキングで2位となった深セン- 香港エリアは,国際出願で2位となったものの,科学関連の出版物は32位であり,1位の東京-横浜エリアと,2位の深セン-香港エリアとの間には大きな開きがある。GII2018の “SPECIAL SECTION”には,1〜100位までのランキングをはじめ本件の詳細情報が掲載されている。

科学技術のホットスポット(世界のトップ10)
https://www.wipo.int/econ_stat/en/economics/news/2019/news_0001.html

(参照日:2019年1月7日)

(佐々本 典子)

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