専門委員会成果物

WIPO,2018年のPCT出願統計を発表,アジアからの出願が初めて過半数に

 2019年3月19日,世界知的所有権機関(WIPO)は,2018年に出願された特許協力条約(PCT)に基づく国際特許出願の統計を発表した。
 WIPOによると,2018年のPCT出願はこれまでで最高の25万3,000件(前年比3.9%増)であり,うち過半数がアジアからの出願であることを公表した。なかでも中国(前年比+9.1%)を中心とし, インド(前年比+27.2%),韓国(前年比+8%)からの出願の急増がアジアからの出願数増加を牽引している。
 国別で見ると,依然として米国からの出願(56,142件)が最大であるものの,中国からの出願(53,345件)が迫ってきており,このペースでいくと今後2年以内に米国を上回ると 予想している。日本からの出願は49,702件で,これは前年比3.1%の増加で,第3位であった。
 出願人別で見ると,ファーウェイ(中国),三菱電機(日本),インテル(米国),クアルコム(米国),ZTE(中国),サムスン(韓国),BOE(中国),LG(韓国), エリクソン(スウェーデン),ボッシュ(ドイツ)と続き,上位10社のうち6社がアジア企業という結果になった。
 さらに,技術分野別で見ると,「デジタル通信」(8.6%)が前年比10.1%増で「コンピュータ技術」(8.1%)を抑え最大となった。以降,「電気機械」(7.1%),「医療技術」 (6.7%)と続く結果となっている。
 WIPOのFrancis Gurry事務局長は「現在,アジアからのPCT出願は全PCT出願の過半数を占めている。このことはあの経済的に活発的なアジア地域にとって重要なマイルストーンであり, イノベーションが西から東へと地理的に移行していることを強調するものである」と述べており,また現代のグローバルな経済活動において知的財産が重要な競争要素であるとも述べている。

 WIPOは特許以外に商標,意匠についても同様に統計を発表しているので参考にされたい。

WIPOプレスリリース(2019年3月19日)
https://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2019/article_0004.html

(参照日:2019年4月26日)

(竹内勇二)

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