専門委員会成果物

欧州特許庁とヨルダン,欧州特許有効化協定に関する交渉を開始

 4月5日,欧州特許庁(EPO)とヨルダン産業財産権保護局(IPPD)の首脳はミュンヘンで会合を行い,欧州特許有効化についての協定に関する交渉を開始した。この協定は,発明者及び企業に対し,欧州特許やEPOへの特許出願に基づき,ヨルダンにおいて特許保護を得るための簡単で費用対効果の高い方法を提供することを目的とする。
 この将来の協定の下では,出願人は欧州特許出願及び欧州特許をヨルダンで有効化させることができ,これらはヨルダンにおける国内出願と同等の法的効果を享受し,国内法に従う。 また,この協定に伴うEPOとIPPDの間の先進的技術協力プログラムでは,ヨルダンの産業財産権制度を支援するため,EPOはIPPDの能力を向上させる研修及びツールを提供する。
 EPOのAntónio Campinos長官は,「これらの交渉は欧州特許制度を欧州外に拡げるための重要な一歩である。
我々は,この数か月以内にヨルダンと有効化協定を締結できるものと確信している。 それにより,ヨルダンの特許制度は強化され,出願人は中東の国家において初めて欧州特許を有効化できるようになる。」と述べた。
 IPPDのZain Al-Awamleh局長は,「欧州特許制度を通じたイノベーターに対する法的に強固な特許へのアクセスの提供は,イノベーションを奨励し,外国からの直接投資を刺激することにより,ヨルダン経済の発展に貢献するだろう。」と強調した。
 Al-Awamleh局長はまた,ヨルダンにおける戦略的経済ツールとしての知的財産の役割を高めるIPPDの取組みを支援するため,EPOとの技術協力を強化することの重要性についても強調した。 EPOとIPPDはすでに特許審査官の研修とデータ交換の分野において協力している。
 ヨルダンではここ数年,年間300件の国内特許出願が提出されており,2017年にヨルダンは特許協力条約の締約国になった。

EPOニュース(2019年4月5日)
https://www.epo.org/news-issues/news/2019/20190405a.html

(参照日:2019年4月26日)

(今井 周一郎)

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