専門委員会成果物

欧州特許庁が欧州発明家賞2019のファイナリスト発表及び受賞者決定

 欧州特許庁(EPO)は,欧州発明家賞2019にノミネートされた15名のファイナリストを発表した。
 欧州発明家賞は,欧州で最も権威のあるイノベーション賞の1つであり,2006年にEPOによって創設され今回で14年目を迎える。
 この賞は,科学技術の進歩への貢献,経済成長への貢献,そして私たちの日常生活への影響に対して,発明家と発明家チームの創造性等を表彰するものであり, (1)産業,(2)研究,(3)非欧州諸国,(4)中小企業及び(5)功労賞の5部門と,EPOのウェブサイトでオンライン投票によりファイナリストの中から選ばれる“Popular Prize”に贈られる。
2019年のファイナリストは,オーストリア,フランス,ドイツ,イスラエル,イタリア,日本,オランダ,ノルウェー,ポーランド,スペイン,イギリス及びアメリカの12カ国から各部門3名の 計15名の発明者及び発明チームであり,日本の吉野彰氏(旭化成:リチウムイオン電池とその進化)が非欧州諸国部門でノミネートされている。ノミネートされている発明の分野は, エコ包装,充電式電池,遺伝学,農業技術,ビデオコーデック,癌診断,電子顕微鏡,高度運転支援システムおよびプラスチックリサイクルを含む幅広い分野を網羅している。
2019年6月20日にウィーンで授賞式が開催され,知的財産,政治,ビジネス,科学,学界の分野から約600名のゲス トが参加した。オーストリア,フランス,日本,オランダ,スペインの 優れた発明者が受賞者として表彰された。
 2019年のファイナリスト及び受賞者は以下の通り。★が受賞者。◎は“Popular Prize”。
  1. 産業
    ★Klaus Feichtinger(オーストリア),Manfred Hackl(オーストリア):高性能プラスチックリサイクル
    • Antonio Corredor Molguero(スペイン),Carlos Fermín Menéndez Díaz(スペイン):防波堤のためのコンクリート鋳型
    • Alexander van der Lely(オランダ),Karel van den Berg(オランダ):健康な牛のための搾乳ロボット
  2. 研究
    ★Jérôme Galon(フランス):より明確ながん検査Immunoscore®
    • Matthias Mann(ドイツ):病気を診断するためのタンパク質分析
    • Patrizia Paterlini-Bréchot(イタリア):腫瘍細胞を検出するためのISET®血液濾過
  3. 非欧州諸国
    • Eben Bayer(アメリカ),Gavin McIntyre(アメリカ):きのこ由来の環境に優しい包装
    • Amnon Shashuaとチーム(イスラエル):交通安全を改善するための自動車のビジョン
    ★吉野彰(日本):リチウムイオン電池とその進化
  4. 中小企業(SMEs)
    • Esben Beck(ノルウェー):サーモンを健康にするレーザー及びAI
    ★Rik Breur(オランダ):海洋防汚繊維ラップ
    • Richard Palmer(イギリス),Philip Green(イギリス):柔軟な衝撃吸収防護具
  5. 功労賞
    ★◎Margarita Salas Falgueras(スペイン):ゲノミクスのためのDNA増幅
    • Maximilian Haider(オーストリア):より鮮明な電子顕微鏡
    • Marta Karczewicz(ポーランド):ビデオ圧縮の進歩

EPOニュース(2019年5月7日)
https://www.epo.org/news-issues/news/2019/20190507.html

EPOニュース(2019年6月20日)
https://www.epo.org/news-issues/news/2019/20190620.html

(参照日:2019年6月28日)    

(石井 昌司)

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