専門委員会成果物

欧州特許庁がSocial Report 2018を発表

 欧州特許庁(EPO)は2018年版のSocial Reportを2019年7月16日に発表した。本レポートでは,EPOの職員構成,給与,社会保障及び年金,労働状況,健康及び福祉サービス等が紹介されている。

【EPOの職員数と職種別内訳】
 2018年末現在のEPOの職員数は6,696人であり,2017年末の6,850人から2.25%減少した。内訳は以下の通りである。
審査官(Examiners):4,276人(−2.33%)
審判官(Members of boards of appeal):166人(+10.67%)
特許関連手続きサポート(Patent procedures support):615人(+0.33%)
その他(Other):1,639人(−4.10%)
合計(Total):6,696人(−2.25%)

【EPOの職員数の勤務地別内訳】
 職員はミュンヘン,ハーグ,ベルリン,ウィーン,ブリュッセルの5都市に勤務しており,2018年末現在の勤務地別内訳は以下の通りであり,ミュンヘンに全体の56%,ハーグに全体の39%の職員が勤務している。
ミュンヘン   3,734人
ハーグ     2,643人
ベルリン     227人
ウィーン      88人
ブリュッセル    4人
合計      6,696人

【EPOの職員数の国籍別ランキング】
 職員の国籍は計35ヶ国から構成されており,その国籍別ランキングは以下の通りである。
1.ドイツ 1,842人(−1.81%)
2.フランス 1,245人(−1.81%)
3.イタリア 551人(−1.96%)
4.スペイン 503人(−1.57%)
5.オランダ 453人(−3.62%)

【EPOのキャリア構造及び給与体系】
 EPOは,17のグレードからなるグレード構造を採用しており,EPOの職員はそれらのグレードに紐付けられた6つの職群(Job group)と,技術キャリアパス又は管理キャリアパスと 呼ばれる2つのキャリアパスに分類される。審査官はJob group 4に,審判官はJob group 3に位置付けられる。
 本レポートの巻末には,勤務国別の各グレードの基本給が掲載されている。例えば,グレードG12-1に位置する典型的な審査官の基本給は,勤務国がドイツである場合,10,536.57ユーロ/月となる。
 基本給以外の各種手当についても紹介されており,扶養手当,育児手当,教育手当の他,国籍を有する国外で働く場合の手当等がある。

【EPOの職員の労働状況について】
 2018年には,全職員の30%以上にあたる2,017人がパートタイム在宅勤務計画に参加している。性別による内訳は,女性が929人,男性が1,088人である。
 (2018年12月31日時点でのデータ,かっこ内は対前年比)

(EPOニュースリリース)
https://www.epo.org/news-issues/news/2019/20190716.html
(EPO Social Report 2018)
http://documents.epo.org/projects/babylon/eponet.nsf/0/FA13834C28E8B591C12584340034A344/$File/social_report_2018_en.pdf
(参照日:2019年8月20日)    

(栁本 昭)

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