専門委員会成果物

SACEPOの作業部会が審査ガイドラインに関する公開協議に同意

 欧州特許庁諮問委員会(SACEPO:Standing Advisory Committee before the EPO)の審査ガイドラインの作業部会メンバーは,2019年11月27日に欧州特許庁(EPO)と会合を行い,「EPOにおける審査のガイドライン」と,「PCT機関としてのEPOにおけるサーチおよび審査のガイドライン」の年次改訂について議論した。
 EPOのガイドラインは,主にEPO内部で利用されるものであるが,長年にわたり外部関係者,特にユーザに対してEPOの手続きを明確にするために,非常に参照されている。「PCT機関としてのEPOにおけるサーチと審査のガイドライン」は,PCT機関としてのEPOの役割をさらに強化することになる,ユーザに対する重要かつ新たな情報源である。
 この会合では,ガイドラインの次期改訂での修正案とSACEPOグループのメンバーからのコメントについて議論がされた。また,人工知能の特許性などの最近の話題についても議論がされた。
 この会合は,2019年6月にEPOの管理理事会(Administrative Council)によって採択されたStrategic Plan 2023で表明された目標である,ガイドラインの改訂にユーザを関与させるというEPOの取り組みの一環である。ガイドラインに関するオンラインでの公開協議を通して,外部関係者の関与の範囲を広げる動きは,この会合において出席者から一様に歓迎された。この会合ではさらに,作業部会のメンバーとEPOによって,2020年3月に開始予定の協議の詳細が議論された。

 〈SACEPOについて〉
 SACEPOは,1978年に初代EPO長官であるJ. B. ヴァンベンテム(van Benthem)氏の主導で設立された,欧州特許制度の発展に「関心のある団体(interested circles)」により議論を行う機関である。
 メンバーは,欧州経営者連盟(BUSINESSEUROPE)が指名する産業界の代表者と,欧州特許庁代理人協会(Institute of Professional Representatives before the European Patent Office)が指名する特許の専門家,およびEPO長官が指名した産業財産権法の専門家から構成されており,任期は3年間である。
 最初の会合は1979年1月に開催され,以来毎年1回,現在では通常6月にミュンヘンで定期的な会合が開催されている。さらに,特に重要な議題が提起されるたびに,臨時の会合や文書による協議が開催される。

EPOニュース(2019年12月5日)
https://www.epo.org/news-issues/news/2019/20191205.html

欧州特許庁諮問委員会(SACEPO)
https://www.epo.org/about-us/services-and-activities/Consultingourusers/sacepo.html

(参照日:2020年1月9日)

   

(篠田 拓也)

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