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専門委員会成果物
特許表示がされていない製品の販売を停止していた期間において，特許法287条の通告要件を満たしていないために特許侵害に伴う損害賠償を得られないとした事例
CAFC判決 2020年２月19日Arctic Cat Inc. v. Bombardier Recreational Products Inc., et al.
［経緯］
Arctic Cat Inc.（Ａ社）は，個人用船舶の操舵システムに関する特許6,793,545（’545特許）と特許6,568,969
（’969特許）とを保有している。 Ａ社はこれらの特許に関係する製品を自社で販売することをやめ，特許を�昭劼縫薀ぅ札鵐垢靴拭�このＡ社と�昭劼箸離薀ぅ札鵐昂戚鵑任廊昭劼�特許表示の義務を負わないことが明記されており，�昭劼脇探�表示を行わず製品を販売した。
Ａ社はBombardier Recreational Products Inc.（Ｂ社）を’545特許と’969特許の侵害で提訴した。地裁はＢ社の故意侵害等を認めたが，Ｂ社はこれを不服として控訴した。その結果，控訴審において，原判決は破棄され，差し戻された。
差し戻し審において，Ａ社は，�昭卆宿覆糧稜篦篁澹紂ぃ村劼紡个垢訌幣戮猟鶺�前までの期間における損害賠償を，特許法287条の制限を 受けることなく認められると主張した。これに対してＢ社は，�昭卆宿覆脇探�表示されていない製品であり，Ａ社が特許法287条に基づく通告要件を満たしていないため，訴訟を提起する前の期間における損害賠償を請求できないと主張した。地裁はＢ社に有利な略式判決下したため，Ａ社はこれを不服としCAFCに控訴した。
Ａ社による特許表示の義務は，ライセンシが特許に関わる製品の販売を開始したときに発生した。そして，特許権者またはライセンシが製品の製造や販売を開始または停止することに伴って，特許権者に課される通告要件が変わることはない。特許権者が特許表示のない製品の販売を停止した後でも，その製品が市場に残れば，特許がないことを公に誤って示していることとなるため，混乱と不確実性が生じる可能性がある。それゆえに，特許権者には特許に関係する製品の製造販売が開始されれば直ちに通告要件が発生し，現実の又は擬制の通告を行うことでしか特許法287条による責務から解放されない。
CAFCは，Ａ社は�昭劼�販売を停止した際に，特許法287条の通告要件に従っておらず，何ら是正処置も講じていなかったので，訴訟提起前の期間における損害を回収できないとして，地裁の判決を支持した。
（’969特許）とを保有している。 Ａ社はこれらの特許に関係する製品を自社で販売することをやめ，特許を�昭劼縫薀ぅ札鵐垢靴拭�このＡ社と�昭劼箸離薀ぅ札鵐昂戚鵑任廊昭劼�特許表示の義務を負わないことが明記されており，�昭劼脇探�表示を行わず製品を販売した。
Ａ社はBombardier Recreational Products Inc.（Ｂ社）を’545特許と’969特許の侵害で提訴した。地裁はＢ社の故意侵害等を認めたが，Ｂ社はこれを不服として控訴した。その結果，控訴審において，原判決は破棄され，差し戻された。
差し戻し審において，Ａ社は，�昭卆宿覆糧稜篦篁澹紂ぃ村劼紡个垢訌幣戮猟鶺�前までの期間における損害賠償を，特許法287条の制限を 受けることなく認められると主張した。これに対してＢ社は，�昭卆宿覆脇探�表示されていない製品であり，Ａ社が特許法287条に基づく通告要件を満たしていないため，訴訟を提起する前の期間における損害賠償を請求できないと主張した。地裁はＢ社に有利な略式判決下したため，Ａ社はこれを不服としCAFCに控訴した。
［CAFCの判断］
CAFCは，特許権者が特許表示されていない製品の販売開始後に損害賠償を得るには，その製品に特許表示を行う，または被疑侵害者に実際に通告するといった通告要件を満たす必要があり，販売を停止するだけでは十分ではないとするＢ社の意見に同意した。Ａ社による特許表示の義務は，ライセンシが特許に関わる製品の販売を開始したときに発生した。そして，特許権者またはライセンシが製品の製造や販売を開始または停止することに伴って，特許権者に課される通告要件が変わることはない。特許権者が特許表示のない製品の販売を停止した後でも，その製品が市場に残れば，特許がないことを公に誤って示していることとなるため，混乱と不確実性が生じる可能性がある。それゆえに，特許権者には特許に関係する製品の製造販売が開始されれば直ちに通告要件が発生し，現実の又は擬制の通告を行うことでしか特許法287条による責務から解放されない。
CAFCは，Ａ社は�昭劼�販売を停止した際に，特許法287条の通告要件に従っておらず，何ら是正処置も講じていなかったので，訴訟提起前の期間における損害を回収できないとして，地裁の判決を支持した。
（山田 賢治）
