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専門委員会成果物
CBMレビュー開始決定に対し不服申立てはできないと判断された事例
CAFC判決 2020年11月17日SIPCO, LLC v. Emerson Electric Co.
［経緯］
SIPCO, LLC（Ｓ社）は，無線通信デバイスに関する特許8,908,842（’842特許）を保有していた。Emerson Electric Co.（Ｅ社）は，この’842特許に対して，ビジネス方法特許（CBM）レビューを請願した。
PTABは，CBMレビュー開始後，’842特許のクレームは特許適格性を有せず，また，特許5,157,687（Tymes）により自明であると認定した。ここで，「技術的発明」はCBMレビューの対象外であるところ，「技術的発明」の基準は，特許法施行規則42.301条（b）により規定される「クレームされた発明が，全体として，�＼莵垉蚕僂紡个靴匿卦�で非自明である技術的特徴を記載しているか否か，��技術的解決手段をもって技術的課題を解決するか否か」である。PTABは，この規則の�△世韻鯏�用して’842特許が「技術的発明」ではなくCBMレビューの対象であると判断した。
Ｓ社は，この決定を不服として控訴した。CAFCは，�△里澆鯏�用したPTABの決定を破棄し，�，療�用可能性を検討するためPTABに差し戻した。
Ｅ社は大法廷再審理を申立てたが，CAFCはこれを却下した。その後，Ｅ社は最高裁に裁量上訴の請願を提出し，特許法324条（e）の下，CBMレビュー開始決定の一環にてCBM特許として適格性を有するというUSPTO長官の判断に対する不服申立てが許されるのか否かを問うた。最高裁はこの請願を認め，上述のCAFC判決を破棄し，Thryv, Inc. v. Click-to-Call Technologies, LP, 140 S. Ct. 1367（2020）に照らして更に検討するためCAFCに差し戻した。なおThryv判決で，最高裁は，早期の起訴が特許法315条（b）の下で当事者系レビュー（IPR）の開始を妨げるか否かに関するPTABの決定は，特許法314条（d）の「不服申し立て不能」条項の下，最終的なもので不服申立てはできないと判示した。そして，「当事者は通常PTABがIPRを開始することを拒否すべきだったと控訴において争うことはできない」と説明した。
CAFCは，Thryv判決を踏まえて，CBMレビュー開始決定の判断に対するＳ社の不服申立てを審理できないとした。他方，PTABの特許性欠如の決定に関しては，’842特許のクレームが，特許法101条に基づく特許適格性を有しないという決定に達することなく，Tymesに基づいて自明であるとして，PTABの決定を支持した。
PTABは，CBMレビュー開始後，’842特許のクレームは特許適格性を有せず，また，特許5,157,687（Tymes）により自明であると認定した。ここで，「技術的発明」はCBMレビューの対象外であるところ，「技術的発明」の基準は，特許法施行規則42.301条（b）により規定される「クレームされた発明が，全体として，�＼莵垉蚕僂紡个靴匿卦�で非自明である技術的特徴を記載しているか否か，��技術的解決手段をもって技術的課題を解決するか否か」である。PTABは，この規則の�△世韻鯏�用して’842特許が「技術的発明」ではなくCBMレビューの対象であると判断した。
Ｓ社は，この決定を不服として控訴した。CAFCは，�△里澆鯏�用したPTABの決定を破棄し，�，療�用可能性を検討するためPTABに差し戻した。
Ｅ社は大法廷再審理を申立てたが，CAFCはこれを却下した。その後，Ｅ社は最高裁に裁量上訴の請願を提出し，特許法324条（e）の下，CBMレビュー開始決定の一環にてCBM特許として適格性を有するというUSPTO長官の判断に対する不服申立てが許されるのか否かを問うた。最高裁はこの請願を認め，上述のCAFC判決を破棄し，Thryv, Inc. v. Click-to-Call Technologies, LP, 140 S. Ct. 1367（2020）に照らして更に検討するためCAFCに差し戻した。なおThryv判決で，最高裁は，早期の起訴が特許法315条（b）の下で当事者系レビュー（IPR）の開始を妨げるか否かに関するPTABの決定は，特許法314条（d）の「不服申し立て不能」条項の下，最終的なもので不服申立てはできないと判示した。そして，「当事者は通常PTABがIPRを開始することを拒否すべきだったと控訴において争うことはできない」と説明した。
［CAFCの判断］
CBMレビューは，特許法314条（d）と実質的に同一の「不服申立て不能」条項である特許法324条（e）の対象となる。この条文では，「付与後レビューを開始するか否かのUSPTO長官による決定は，最終的なものであり，不服申立てできない」とされている。ある特許がCBMレビューに適合するという判断は，明示的かつ排他的にその開始決定に関係する。ここで，Thryv判決の下では，Ｓ社の不服申立ては，PTABがCBMレビューの開始を拒否すべきだったという論争に過ぎないため，特許法324条（e）により司法審査が禁じられる。CAFCは，Thryv判決を踏まえて，CBMレビュー開始決定の判断に対するＳ社の不服申立てを審理できないとした。他方，PTABの特許性欠如の決定に関しては，’842特許のクレームが，特許法101条に基づく特許適格性を有しないという決定に達することなく，Tymesに基づいて自明であるとして，PTABの決定を支持した。
（新妻 瞬）
