専門委員会成果物

ドイツ特許商標庁,生産性を大幅に向上

 ドイツ特許商標庁(DPMA(German Patent and Trade Mark Office))は,2019年,特許領域で,過去最高の40,124件の審査手続きを完了した(前年比5.3%増)。付与された特許件数は18,255件(同11.5%増)と過去12年間で最多を記録した。 特許査定率は45.5%で,前年(2018年,以下同様)の43%をわずかに上回った。特許出願件数は67,437件(同0.7%減)で前年の高水準を維持した。昨年末時点の有効特許総数は131,999件(同1.9%増)であった。
 技術分野別の出願件数ランキングでは,過去数年と同様,「輸送」分野の出願が12,836件で最多となった。自動車業界の出願の大部分がこれに含まれる。輸送分野の出願は前年比3.2%増で,現在では出願総数の19%を占める。 自動車業界がイノベーションの分野で果たす大きな役割は,2019年の出願人トップランキングに反映されており,初めて,上位10社すべてを自動車メーカーまたは自動車業界のサプライヤーが占めた。
 技術分野別の出願件数ランキングは,次いで7,160件(前年比4.2%減)の「電気機械,装置,エネルギー」,さらに5,390件(同8.4%減)の「機械要素」と続いた。ここ数年,電気工学分野の出願数が増加しており,現在, このセクターの出願は4件に1件の割合(23.8%)を占めるが,10年前はわずか19%であった。昨年,この変化の主な要因として,「半導体」(前年比9.0%増),「視聴覚技術」(同7.6%増),および人工知能として知られている 多くのソフトウェアベースの発明をカバーする「コンピューター技術」(同2.0%増)の出願増が挙げられる。
 特許出願人別の出願件数ランキングは,Robert Bosch GmbHが4,202件で1位,次いでSchaeffler Technologies AG & Co. KG(2,385件),さらにBayerische Motoren Werke AG(1,773件)と続いた。
 2019年末,DPMAは,ミュンヘン,イェーナ,ベルリン,ハウゼンバーグにおいて2,747人のスタッフを採用した。スタッフの男女比は均等であり(女性:48%,男性:52%),女性は上級管理職の約3分の1を占める。
 DPMAは,柔軟なパートタイム労働スキームと出勤モデルを備えた魅力的な雇用主である。昨年,DPMAは1,000か所のテレワーク拠点を設置した。2019年末までに,1,045人のスタッフがすでに勤務時間の一部を在宅勤務とする機会を利用した。今年の終わりまでに,1,200人のスタッフが在宅勤務を行う。
 2019年に特に成功したのは,2018年と2019年の予算でドイツ連邦議会によって承認されDPMAに与えられた,定員177人の追加の特許審査官職の採用活動であった。DPMAは,高度な資格を持ち,経験豊富な科学および工学の専門家ですべての定員を満たすことに成功した。将来の職務を遂行できるように,これら新任の審査官は,現在18か月のトレーニングプログラムを受けている。

DPMAニュース(2020年2月28日)
https://www.dpma.de/english/services/public_relations/press_releases/20200228.html

DPMA統計データ(2019年)
https://www.dpma.de/english/our_office/publications/statistics/index.html

(参照日:2020年3月4日)    

(奥山 祐美子)

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