専門委員会成果物

ドイツ連邦議会,統一特許裁判所協定の批准法案を承認

 2020年11月26日,ドイツ連邦議会は,統一特許裁判所(UPC)に関する協定への同意を含む批准法案を採択した1)。
 このニュースを歓迎して,欧州特許庁(EPO)長官のAntónio Campinos氏は次のように述べている:「本日の連邦議会による承認は,待望の単一特許パッケージの実施に近づく重要な一歩となる。これが実現すると,欧州の発明者はついに単一特許の恩恵を受けることができる。参加しているすべての欧州連合(EU)加盟国において,統一された特許保護を与え,さらに訴訟のための統一されたシステムを提供することとなる。これにより,ヨーロッパはイノベーションと投資家にとってさらに魅力的なものになり,COVID-19の危機を照らして,景気回復を助けるであろう。」
 EPOは最初の単一特許を登録する準備ができているとしている。単一特許が利用可能になるためには,統一特許裁判所協定が発効される必要があり,25の参加EU加盟国のうち,フランス,ドイツ,イタリアを含む13か国による批准が必要である。ドイツでは,承認のための批准法案は連邦参議院(Bundesrat)に2020年末に提出される予定である。ドイツの批准手続きが完了すれば,2021年にUPCを設立するための最終的な準備措置が進められると期待され,その後2022年にUPCは稼動を始めることができると思われる。

 【単一特許パッケージ】
 単一特許とUPCはいわゆる単一特許パッケージの構成要素であり,既存の集中型欧州特許付与システムの補完および強化を行う。ヨーロッパ全体での特許保護と,紛争解決のための費用効果の高いオプションをユーザーに提供する。
 単一特許は,EPOにただ一つの請求を提出することにより,最大25のEU加盟国で統一された特許保護を取得することを可能にし,出願人にとってより簡単で費用効果の高い手続きになる。
 UPCは,EPOによって付与された特許権を管轄する国際裁判所となる。この専門裁判所は,ヨーロッパ全体での特許権の行使を実現し,法的確実性を高め,訴訟費用を削減することになる。当該裁判所は,国際条約である統一特許裁判所協定に基づく。

注 記

  1. 欧州特許庁ニュースリリース(2020年11月26日)
    https://www.epo.org/news-events/news/2020/20201126b.html

(参照日:2020年11月26日)

(濱 明香)

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